声援控えて、無音のスタート 大阪の代替聖火リレー

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて大阪府内の公道での実施が中止された東京五輪聖火リレーは13日、万博記念公園(吹田市)内を周回する代替措置としてのリレーが始まった。公園内は一般客の立ち入りが禁止され、ランナーを囲む車も最小限に制限。入場を許された家族らも感染防止のために声を出すことは控え、メッセージを書き込んだ旗を振るなどして応援した。

 完全に封鎖された公園を舞台にした前例がないリレーは午前9時15分、第一走者の歌舞伎俳優、片岡愛之助さん(49)がトーチを手にスタート。音楽を流すなどの演出は行われず、スタッフが時間になったことを告げると関係者が見送る中、静かに走り出した。

 公園内での観覧が認められたのはランナー1人につき家族ら4人まで。これまで聖火リレーが行われた自治体が頭を悩ませてきた「密」とは無縁の閑散とした光景が広がった。

 東大阪市でのリレーを予定していた会社役員、森沢彰彦さん(57)は笑顔を絶やさず、観衆がいるかのように力強く手を振り続けて約200メートルを走った。終了後、「ライブ配信でも友人らが見てくれた。新しい形での聖火リレーができた」と充実感をにじませた。

 駆け付けた家族らも声援を送ることは控え、感染対策を踏まえて無言の応援をするしかなかった。それでも、夫の村松弘樹さん(46)が走る姿を見届けた妻の由美子さん(45)は「人がいなくて寂しい部分もあったが、無事に開催されてよかった」と安堵(あんど)の笑顔を見せた。

 これまでに開催された県ではスポンサー各社の車両がランナーを先導して沿道を盛り上げていたが、この日の隊列はライブ配信の映像を撮影する車両など最小限に抑えられた。

 4カ所ある公園への出入り口はすべて閉鎖されたが、公園の外には聖火を一目見ようと足を運んだ人の姿も。近くに住む男性(76)は「せっかくなので少しでも見られれば」と公園を見下ろせるモノレールの駅付近から熱心に双眼鏡をのぞき込んでいた。

 代替措置が発表された際には、東京五輪への機運を高めるという聖火リレーの目的は果たせないのではないかとの声もあった。それでも2012年ロンドン五輪の競泳銅メダリストで、この日の聖火ランナーを務めた寺川綾さん(36)は「どういう形であっても、リレーを開催できたことがありがたい」。つながった聖火の重みをかみしめるように振り返った。

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