政府、領土情報発信に本腰 資金面で不安

 政府が「領土」の情報発信に本腰を入れている。内閣官房領土・主権対策企画調整室(領土室)は昨年末から尖閣諸島(沖縄県石垣市)などの解説サイトを拡充し、領土・主権展示館(領土館、東京都千代田区)をバーチャルリアリティー(VR)で体験できる「デジタル展示館」も整備した。中韓両国を見据えた「情報戦」の態勢は進みつつあるが、資金面では不安が残っている。

 「一人でも多く、特に若年層に一回でも多く訪れてもらいたい」。小此木八郎領土問題担当相は9日の記者会見で、同日開設したデジタル展示館についてこう述べた。新型コロナウイルス禍で来館しにくい状況であってもウェブ上で展示物を観覧でき、今後は英語や韓国、中国語など多言語化も検討するという。

 領土室は昨年秋から領土館の地方巡回展を広島や松江、石垣で実施。昨年12月に尖閣諸島、今年1月に竹島(島根県隠岐の島町)の領有権を解説するサイトをリニューアルした。

 領土室は平成26年度から沖縄などの郷土史家らと連携し、日本の主張を裏付ける関連資料を多く収集してきた。昭和27年発効のサンフランシスコ講和条約の起草過程で、日本が領有権を放棄した領土に竹島が含まれていないことを示す英米の公文書など発掘資料は計4千点に及ぶ。領土室の担当者は「日本に帰属する根拠を示したものばかりだ」と語り、多くの国民の閲覧を期待する。

 資料収集が本格化したのは安倍晋三前政権時だった。学校教育などで子供たちが領土問題について学ぶ機会がほとんどなかったため、自民党の野党時代、山谷えり子参院議員が安倍氏に「私たちが政権をとったら領土担当相というポストをつくり、海洋大国の基盤を充実させよう」と持ち掛けていた。

 一方で、令和2年度の領土室の関連予算は4億円に満たない。韓国の関連予算は約15億円で、中国も情報戦に力を入れる中、日本政府が限られた予算を効率的に生かし、領土への国民の持続的な関心を喚起できるかが問われている。(奥原慎平)

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