自衛隊の深刻な「桟橋問題」 重要な補給基盤が沈没しかけている 修理費用要求したが回ってこず…尖閣防衛に支障、事故が起きたらどうするのか

 「午後の参院予算委では南西諸島防衛について説明。補給基盤や後方支援の強化は非常に重要です」

 岸信夫防衛相は5日、自身のツイッターでこう発信した。私は「やっと補給基盤の重要性を認識する防衛相が現れた」と感じた。ここで見過ごされてきた、重大な補給基盤問題をお伝えしたい。

 尖閣諸島に最も近い海自護衛艦のいる基地は佐世保だ。補給艦を使う場合もあるが、燃料や食料、武器弾薬の補給は基本的に母港で行う。この基地の崎辺地区にある大田燃料庫の桟橋が沈みかけているのだ。

 自衛隊の油船(燃料の補給船)は、この桟橋で燃料を載せて、護衛艦の給油に向かう。だが、近くを通過する船の波をかぶって桟橋先端部分での作業は危険だそうだ。

 現場は、桟橋の修理費用を何度も何度も要求したが、佐世保施設課に修理費が落ちてこないという。

 地味な補給や輸送、人材獲得などの兵站部門の予算は最後に回されることが多いが、この桟橋が沈没すれば、尖閣防衛を担う護衛艦への給油に支障が出かねない。事故が起きて、万が一、自衛官らが巻き込まれたらどうするのか。

 この緊急寄稿が出れば、自衛隊では内部告発の犯人捜しを始めるだろう。

 だが、岸防衛相には現場が告発に至った、苦しい胸中を察してほしい。予算不足をそのままにして、現場の自衛官に我慢させても問題は解決しない。

 領土・領海、国民の生命・財産を守る国防は最大の福祉といえる。国民は自衛隊を信頼して国防を付託している。必要な修理費がなければ基地の機能は低下していく。予算不足で防衛力に穴が開きそうな現状を放置しないでほしい。

 ぜひ、現場の声を聞いて必要な対策を講じてほしい。修理費などが足らないのは佐世保だけではないはずだ。

 東日本大震災で、国民の信頼を高めた自衛隊だが、「予算不足」「人員不足」は改善されていない。中国は軍事的覇権拡大を進め、沖縄県・尖閣諸島周辺海域に連日のように侵入している。全国各地で災害派遣要請は増えている。このまま、末端の自衛官へのしわ寄せを放置していいのか。国防ジャーナリストの小笠原理恵氏が、海上自衛隊佐世保基地(長崎県佐世保市)が抱える「桟橋問題」を報告する。

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