全人代開幕で政府、香港問題など注視 中国抑止へ米と連携 

 中国の習近平政権が5日開幕した全国人民代表大会(全人代)で香港の民主派排除や軍拡路線を鮮明にしたことについて、日本政府は動向を注視するとともに懸念を強めている。米国のバイデン政権は中国を「地政学的な試練」と位置付け、同盟国を重視する方針を打ち出しており、日本も対中政策で歩調を合わせ、日米同盟を通じた抑止力の強化や国際社会との連携を深める考えだ。

 「高い関心を持っている。どういった情勢になるか、よく注視したい」

 茂木敏充外相は5日の記者会見で、全人代で審議予定の香港の選挙制度見直しについてこう語り、香港の民主的、安定的な発展が重要だとの認識を示した。外務省は国防費の増加に関しても「透明性を高めていくことが求められる」とクギを刺す。

 中国は海警局の武器使用の権限などを規定した海警法を施行し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海侵入を繰り返すなど、地域の緊張を高めている。

 東シナ海や南シナ海で中国の脅威が増す中、日本政府が力を入れるのが米国との連携だ。バイデン政権発足直後から首脳や外相の電話会談などで、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の尖閣への適用を重ねて確認。法の支配など「自由で開かれたインド太平洋」の推進でも足並みをそろえている。

 今月中旬にもブリンケン国務長官とオースティン国防長官が来日する方向で調整しているほか、バイデン政権は、中国が“対中包囲網”と警戒する日米にオーストラリアとインドを加えた4カ国の首脳会談開催なども呼びかけている。日本政府内からは「この地域への強いコミットメントを感じる」と評価する声が上がる。

 バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権はアジア重視の「リバランス(再均衡)」を掲げたが、中国の台頭を許した。バイデン政権も同様の懸念があるが、今のところ、日米連携はスムーズに行っている。外務省幹部は「考え方は共有できており、いかにそれを具体化するかがこれからの課題だ」と指摘する。(田村龍彦)

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