都構想コスト増試算は捨て身のクーデター説… なぜデメリットにつながる試算を示したのか

エリート集団の策謀

 憲法の規定で、公共の利益のため職務に取り組む「全体の奉仕者」であるべき地方公務員の3人は、なぜ一線を越えてしまったのか。そこに、大阪市役所の所在地にちなみ「中之島一家」と呼ばれた強固な体制の影を見たとの声もある。

 行政当局と市議会の与党会派、職員労働組合が三位一体で市長を担ぎ、市政を長年にわたり掌握。こうした体制による恩恵を既得権とみなし、最終的に都構想に行き着く行政改革を掲げてきたのが維新だった。

 財政局は総額3兆円規模の予算編成を担うエリート集団であり、外部の干渉が及ばない聖域と化していたことは想像に難くない。

 特に、処分された3人は財政畑を軸にキャリアを重ねてきた。財政局長は在職38年間のうち23年、前財務課長は同25年間で19年、同局で勤務。財務部長(51)に至っては同28年間で局外勤務はわずか1年しかなかったという。

 どのような組織でも人員が入れ替わらなければ仲間意識が凝り固まり、既得権を守る方向で組織が硬直化してガバナンス(統治)が機能しなくなりがちだ。

 「人事も含めた根深いところで、都構想が否決されるよう仕向ける体制ができ上がっていたのではないか」(市政関係者)

 都構想可決で大阪市が廃止されれば、予算規模は縮小し、権限も「中核市並み」にとどまるはずだった。市役所の一部では一連の問題について、強大な権限を手放したくないがための、捨て身のクーデターだったとの見方も出た。

 産経新聞が市に求め続けていた内部文書がようやく開示されたのは、市役所が仕事納めの同28日。批判や問い合わせを避け、幕引きを図ろうとしているのではないかと邪推したくもなるタイミングだった。大阪市役所にすむ“亡霊”は一掃されたのだろうか。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ