自民「護る会」の青山氏 海警法に「『関心もって注視』は黙認と同じ」 会見詳報

 自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表・青山繁晴参院議員)は2日、中国で海上警備を担う海警局に武器使用を認める海警法が施行されたことを受け、自衛隊と米軍の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での共同訓練の実施などを求める政府への緊急要望を取りまとめた。5日に菅義偉首相に提出する。

 要望は(1)尖閣周辺での定期的な日米共同演習の実施(2)自衛隊と在沖米軍の統合連絡本部の那覇市への設置(3)海上保安庁の大型巡視船の配備(4)尖閣周辺で自然海洋上陸調査の実施(5)石垣市に国が運営する「尖閣歴史資料館」の開設(6)ベトナムやフィリピンなど海警法施行に反発する近隣諸国との連携-

 会合後、青山氏が記者団と行った主な一問一答は以下の通り。

     ◇

 --加藤勝信官房長官は海警法施行について「高い関心を持って注視している」と述べるにとどめている

 「それでは『逆メッセージ』になることを強く懸念する。海警法施行に影響を受ける国々で、わが国と友好関係にあるベトナムやフィリピンは実質強く抗議している。日本は『関心をもって注視する』だけでは、(中国の姿勢を)支持することにはならなくても、黙認と受け取られる恐れも国際社会においてはある。それではまったく足らない」

 「護る会は衆参64人いるが、今日の総会は今までで一番多く議員が出席したと思う。本人出席が29人、代理が11人。合わせると40人。この海警法でフェーズ(局面)が変わった。尖閣諸島をめぐる問題だけでなく、中国が日本を含む近隣諸国に及ぼす影響の次元が変わったとの共通認識があるのだろう。政府を批判するためではなく、中国が巻き起こす新しい事態に即応するために強い関心をもって皆が集まった。護る会の緊急要望はマキシマム(最大限)に要求しているのではなく、最低限これだけは必要だという趣旨だ」

 --もっとどういうことを要望したいか。政府当局は「やります」との姿勢は見せるが、行動に移さない。フェーズは変わったことで政府は動くと考えるか

 「一つ目は、例えば自民党は平成24年衆院選で『(尖閣への)公務員常駐』は公約したが、それを忘れたかのようにふるまっている、事実上。では、常駐する公務員は誰なのか。常駐とはどういう施設を置くのか。その根拠法をどうするのかということをはじめ、より恒久的で具体的な提言が必要となる。今月半ばを目指して、護る会64人の意見を吸い上げ、骨格のある提言を作り直し、首相、防衛相、海上保安庁を所管する国土交通相を含め、党の幹事長、政調会長らに出していきたい」

 「2点目の質問だが、『政府はやる、やると言いながら…』と(記者は)言ったが、『やる、やる』とさえ言っていないのではないか。『尖閣諸島はわが国固有の領土で、領土紛争も存在していない』ということはずっと言っているが、中国は実質的にそれを否定するような行動に出て、日常的に領海を侵犯している」

 「それに対して何かをするという意思表示すら(政府には)ない。フェーズが変わったといっても、放置すれば中国の場合は本気だと思われる。尖閣諸島が奪われる事態が冗談ごとではなくなる。イデオロギーや中国に対する考え方の問題ではなく、わが国の領土を守るために、やらなければいけない」

 --海警法をめぐりメディアを含め世論の関心が低い。この法律の危険性についてどう発信していくか

 「関心がないのではなく、この海警法というものが知られていないだけだろう。緊急申し入れの背景として、2月1日から中国は日本の海で武器を使用できるという、とんでもない法律を施行していると知らせるためにも、こういう行動を起こしている。護る会として、まずは行動することにより、国民にお知らせすることをやりたい」

 --海警法をめぐり中国の覇権主義的な考えがあるが、自由主義陣営ではドイツやフランス、英国が軍艦を派遣して対応する

 「中国はその程度で、南シナ海や東シナ海を制覇しようとする手を緩めたりしない。確かにフランスの原子力空母シャルル・ドゴールがやってくる予定になっていたり、英国も一番強いといわれる空母を出してくるが、具体的に行動しているのは『航行の自由』作戦での米軍のごく一部の行動だけだ」

 「フィリピンやベトナムは抗議の声を挙げるだけで、実際にはなかなか動けない。そうすると、日本の役割がどれだけ重大か。まさか戦争にならないようにするためにも、日本の意思を明確にしなければいけないというのは緊急を要する事項だ」

 「護る会は本来(男系男子の皇位継承などの)3本柱の目標があり、それに力を注いでいるが、わが国の領土が人命を失うリスクも伴って侵犯されるのを看過するようであれば、皇位継承であれ、国土浸食の防止であれ、何もできない。中国は腹を決めて、この海警法を施行したので」

 「『フランスが来てくれて、英国が来てくれて、ドイツも海軍の艦艇を派遣する。そういうことで、じわじわとやりましょう』という段階では全くない。日本はアジアの民主主義のリーダーで、当事者だ。その当事者が動かずして欧州からの海軍の艦船の派遣で、いくばくかの安心を得るのはそもそも常道に反する」

 「防衛は自分の国の領土、領海、領空、国民を守ることだから、その基本条件を外した国だから、拉致事件も起きて、拉致被害者も帰ってこないままになっている。全部根っこはつながっている。海警法という暴挙に中国が出たことに対し、われわれの姿勢を明示しないといけない」

 --中国の少数民族に対する人権迫害も問題だ。護る会としての対応は

 「喫緊の問題は米国が政権が変わっても中国がウイグル人に対して『ジェノサイド(民族大量虐殺)』を行ったと認定している。ブリンケン国務長官も議会の証言でそのように言っている。日米同盟といいながら、党外交部会で、外務省の姿勢として『日本は「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約(ジェノサイド条約)」に入っていないから態度を鮮明にできない』ということだったが、それにとどまる問題ではない」

 「ジェノサイド条約は、国連加盟国の3分の2以上が加盟している。日本は国連憲章を守る立場から、現状でいいとはとても思えない。まず、ジェノサイド条約があるから、それに加盟する、しないについて護る会で議論したい」

 「先日の外交部会で個人的に衝撃だったので外務省を追及したが、外務省の出した資料は香港とチベットとウイグルはあるが、南モンゴルがなかった。わざと南モンゴルを外したとしか思えない。ジェノサイドの始まりは南モンゴルというのが定説だ」

 「1月28日未明の日米電話首脳会談で、ホワイトハウスが発表した資料には『中国の問題を話し合った』と書いてあるが、外務省が党外交部会に出した資料には中国の『ち』の字もなかった。異様に中国の問題を避けて通ろうとする姿勢は明らかにある」

 --中国問題を避ける政府の異様な姿勢の背景についてどう考えるか

 「謎だ。放っておけば、外務省が中国寄りになるのは、今までの経験から明らかだ。きちっと政治の責任で方向を正さないとこうなるということだ」

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