中国・海警法に日本政府懸念 「日米安保適用」も領海侵入常態化

 中国海警局(海警)に武器使用を認める権限などを定めた海警法(2月1日施行)について、日本政府は中国に懸念を伝えてきた。政府は同法施行にかかわらず、尖閣諸島(沖縄県石垣市)は日本固有の領土で、「断固として守る」との姿勢を強調するが、現実は海警船による領海侵入などを押さえ込めていない。

 「この法律が国際法に反する形で適用されることがあってはならない。日本の領土、領海、領空を断固として守り抜く決意の下、冷静かつ毅然(きぜん)と対処していく」

 茂木敏充外相は29日の記者会見でこう述べ、中国を牽制(けんせい)した。尖閣は歴史的にも国際法上も日本固有の領土で、そもそも領有権の問題は存在しないというのが政府の一貫した立場だ。

 海警法について外務省は外交ルートで中国に懸念を伝えてきた。同省幹部は「海警法が施行されるかどうかにかかわらず自国の領土を守るためにやることは変わらない」と強調する。

 28日の菅義偉首相とバイデン米大統領の電話会談では、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の尖閣への適用を確認した。初会談での米側の言及は異例で、中国の挑発行為を抑える狙いだが、海警法は話題に上らなかった。

 加藤勝信官房長官も記者会見で「高い関心を持ち、注視していきたい」と述べるにとどめるが、中国との間で南シナ海の領有権問題を抱えるフィリピンは外相が海警法成立に抗議した。「懸念」「注視」の表現について外務省は「主権侵害や国際法違反があったわけではない」と説明する。

 領海侵入に対する日本の度重なる抗議を受けても中国は尖閣の領有権主張を改めず、領海や接続水域への侵入は常態化している。海警法への日本政府の踏み込んだ対応が求められるが、現時点でその気配はない。(田村龍彦)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ