日米安保で尖閣適用確認も…祖国防衛は「自国は自国で守り抜く」気概持ってこそ

 だが、若泉氏の憂いは年々深まっていく。彼が目指していたのは、沖縄返還を契機として、徐々に「自主防衛」に向かっていく独立国・日本の姿であった。だが、現実に日本国民は米国によって守られることが当然であるかのように考え、自国を自ら守るという気概を失っていった。

 若泉氏は、こうした日本の現状を「愚者の楽園(フールズ・パラダイス)」と悲嘆した。

 いまだに憲法9条さえ存在すれば平和は守られるという人々は存在するが、全国民の中では極めて少数派であろう。北朝鮮の核兵器、中国の覇権主義に対抗するためには現実的でなければならないと考える人が多いはずだ。そのためには日米同盟を基軸としながら国防を考えるべきであろう。

 だが、国を守るという気概がなければ祖国の防衛など不可能だという大前提を閑却(かんきゃく=なおざりにすること)してはならない。福澤諭吉は『学問のすすめ』において、次のように喝破した。

 「独立の気力なき者は、国を思うこと深切ならず(=独立の気概を持たない者は、国家のことを真剣に考えない)」

 現在、もう一度思い出すべき至言である。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部准教授。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。

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