日米外交は脱トップダウンへ 手腕問われる外相、早期訪米も模索

 日本政府はバイデン米新大統領の就任を受け、菅義偉首相との首脳会談に向けた調整を本格化させる。ただ、日米外交は安倍晋三前首相とトランプ大統領がみせた首脳中心のトップダウン型から、閣僚や事務レベルの協議を積み上げるボトムアップ型に回帰する公算が大きい。日本側は首脳会談前の茂木敏充外相の訪米も模索している。

 「外相会談で粗ごなしをして、成果のある首脳会談につなげる。これも一つの考え方だ」。茂木氏はこう語る。首相に先駆けて訪米し、国務長官候補のブリンケン氏と会談する意向だ。

 首相は2月に訪米し、首脳会談の開催を目指す考えを示したが、バイデン氏は新型コロナウイルス対応をはじめとする国内問題を優先するとみられる。

 バイデン政権の外交について外務省幹部は「オーソドックスに戻る」とトップダウンだったトランプ政権からの転換を指摘。ブリンケン氏はオバマ政権で国務副長官を務め、新設のインド太平洋地域担当の高官ポストには知日派のキャンベル元国務次官補が就く。日本側も政策立案や調整力など「外交の総合力」(外務省幹部)がより問われる。

 日本にとっては、台頭する中国を前提にした日米同盟の強化が最優先課題となる。初の首脳会談では、米国の核兵器で日本防衛に当たることを明記した共同声明の発出も目指す。

 いわゆる徴用工や慰安婦問題で冷え込む日韓関係に米国が絡む可能性もある。ブリンケン氏は東アジア安定のために日米韓の協力を重視する。日本の主張をブリンケン氏に伝えることも茂木氏の役割となる。

 バイデン氏が重視する気候変動問題での協力も課題だ。米国に寄り添いつつ日本の国益を最大化させるには、安倍外交の路線継承にとどまらず、新たな発想やアプローチも求められる。(石鍋圭)

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