政府、バイデン米政権発足見据え先手 拉致解決へ「北との直接対話」繰り返し主張

 米大統領選でバイデン前副大統領が当選を確実にしたことで、日本政府は北朝鮮による拉致問題の解決に向けた戦術見直しを迫られそうだ。菅義偉(すが・よしひで)政権は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とのトップ会談で事態を打開する構想を描くが、バイデン氏はトランプ米大統領が重視した首脳同士の直接交渉から政策転換する可能性もある。菅政権はバイデン政権の出方を見極める一方、直接会談方針の堅持を図る。

 加藤勝信官房長官兼拉致問題担当相は15日、新潟市内で開かれた「忘れるな拉致 県民集会」で「菅首相自身、条件を付けず金氏と向き合う決意を累次の機会に申し上げている」と説明。集会終了後も記者団に対し、直接対話方針について「全く変わることはない」と強調した。

 首相は拉致問題に関し、金氏との直接交渉で最終解決を目指す安倍晋三前首相の方針を踏襲している。14日の日中韓3カ国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議でも金氏と「直接向き合う決意だ」と述べ、理解を求めた。

 日朝首脳会談を目指す方針は、安倍氏が昨年5月に表明した。関係者によると、構想は一昨年11月ごろに浮上し、関係国との周到な調整の上で公表された。

 ただ、バイデン氏は金氏と直接会談したトランプ氏を「北朝鮮に正当性を与えた」と批判。実務協議を積み上げて北朝鮮の非核化を目指すボトムアップ式への転換を示唆してきた。日本政府内には「戦略的忍耐」と称して北朝鮮問題を放置したオバマ政権時代に回帰することへの懸念も残る。

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