在日米軍駐留経費負担 今週から正式交渉スタート

 岸信夫防衛相は10日の記者会見で、来年度以降の在日米軍駐留経費の日本側負担を決める日米外務・防衛当局の参事官級の交渉を週内にワシントンで始めることを明らかにした。米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が当選を確実にしたことを踏まえ、正式交渉に入る。ただ、トランプ大統領がエスパー国防長官を解任し、先行きに不透明感が漂うこともあり、日本側は現行協定を1年暫定的に延長する方向で協議に臨む。

 岸氏は交渉について「一層厳しさを増す地域の安全保障環境とわが国の財政状況をふまえ、適切に対応していきたい」と述べた。

 日米両政府は原則5年ごとに特別協定を結び、米軍基地で働く従業員の給与や光熱水費などの日本側負担額を決めている。現行協定は今年度末で期限を迎えるため、両政府は今週から始まる交渉で、来年度以降の日本の負担額を協議する。

 日米の実務者は大統領選に先立ち、10月に事前協議を行ったが、「次の大統領がバイデン氏かトランプ氏かで、米国のスタンスは全く違う」(防衛省幹部)として、正式交渉は大統領選の趨勢(すうせい)が決まった後に先送りしていた。駐留経費の負担は令和3年度予算案に反映させる必要があるため、日本側は年内に交渉を妥結させ、今年度末までに国会で承認を得たい考えだ。

 バイデン氏の大統領就任は来年1月20日が予定されているため、駐留経費をめぐる交渉はトランプ政権が相手となる。同政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務めたボルトン氏は著書で、トランプ氏が日本側負担を年間約80億ドル(約8600億円)に増やすよう求めたと記し、波紋を広げた。

 政府関係者は「トランプ政権がレームダック(死に体)化すれば日本は強気でいける」と語るが、トランプ氏は敗北を認めておらず、交渉の行方には不透明さが増している。

 今後の交渉について、外務省幹部は、「常識的にトランプ政権との間で今後5年間の負担額を決めることにはならない」と語り、現行協定を暫定的に延長させる意向をにじませた。

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