都構想住民説明会の動画削除 大阪市 専門家「公開すべき」と指摘も

 大阪都構想の住民投票(11月1日投開票)をめぐり、松井一郎・大阪市長(大阪維新の会代表)が出席した市主催の住民説明会の動画が、市のホームページ(HP)で閲覧できなくなっている。説明会は9~10月に計8回開かれ、松井氏は都構想の必要性や意義を強調。市は動画の削除理由として、「行政と政治の中立性確保のため」と説明している。

 市は当初、説明会の動画について、終了後も配信を予定していた。だが、告示5日前の今月7日に「告示後は動画を削除します」という文章を掲載。告示後、閲覧できなくなった。市によると、選挙の際に市のHPなどで市長らの政治的主張の掲載を禁じる「役所の政治的中立性を確保する条例」に準じた措置だという。

 新型コロナウイルスにより前回(平成27年5月)住民投票時と比べ直接市民に説明する機会は減っているが、市は説明会の議事録を残すほか、市民から寄せられた約740件の質問への回答や、制度設計の解説動画をHPに掲載して周知に努める、としている。

 市がこれだけ“敏感”になるのは、都構想をめぐる市の広報紙やパンフレットの表現について、特別参与の大学教授から「都構想の広告になっている」と指摘され、修正を繰り返した経緯もあるとみられる。住民説明会でも反対派の意見を紹介しなかったことで「中立的ではない」と批判の声もあがっていた。

 市の対応について、松井氏は、住民投票は条例の対象ではないという認識を示しつつ、「人を選ぶ選挙と同じように感じる人もいる。役所ぐるみで政治に関与しているという誤解を招くのは良くないので、厳しいルールを適用した」と話す。一方、反対派の自民党市議は「動画を削除するのは説明会が中立ではなかったと行政自ら言っているようなものだ」と非難する。

 近畿大法学部の上崎哉(はじめ)教授(行政学)は、住民投票の根拠法である大都市地域特別区設置法が「市長は選挙人(市民)の理解を促進するよう、協定書の内容について分かりやすい説明をしなければならない」と明記している点を重視。住民投票に関して優先すべきは直接の規定ではない条例より大都市法であるとし、「法の趣旨に沿って行った行政の説明会ならば、有権者が判断材料とするための情報として、告示後も公開すべきだ」としている。

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