「歩み止めない」「即時一括帰国以外の道はない」拉致国民大集会 決議文に強い意志

 北朝鮮による拉致被害者家族会などは24日、東京都千代田区で、拉致問題の全面解決を求める国民大集会を開いた。新型コロナウイルスの影響で延期され、約1年ぶりに開かれた北朝鮮による拉致問題の解決を求める国民大集会。被害者家族の訃報が相次ぐ悲しみの中、局面打開へ「歩みは止めない」とする強い意志を示した。

 「あと一歩のところまで来た。わがこととして拉致を直視し、一丸となって北朝鮮と闘っていただきたい」。冒頭であいさつした横田めぐみさん(56)=拉致当時(13)=の弟、拓也さん(52)は政府、国民への思いを述べた。

 集会は決議文で「制裁圧力が多大な効果をあげ、北朝鮮国内で政権への不満が高まっている」と指摘した。国連安保理の経済制裁、新型コロナを受けた中朝国境の封鎖、大規模水害など、苦境に直面するとされる北朝鮮の現状を念頭に、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が全拉致被害者の即時一括帰国を決意する以外、「危機を脱する道はない」と迫った。

 一方で家族は、全被害者の即時一括帰国が実現すれば、被害者から秘密を聞き出すことはせず、日朝国交正常化にも反対しないとするメッセージを出している。背景には、被害者と家族の再会までに限られた時間への強い焦燥感がある。

 2月、有本恵子さん(60)=同(23)=の母、嘉代子さんが94歳で死去。6月には横田めぐみさんの父、滋さんが87歳で亡くなった。残る家族も老い、病を抱える。田口八重子さん(65)=同(22)=の長男、飯塚耕一郎さん(43)は「健康なうちに再会を果たせなければ、真の解決とはいえない」と語気を強める。

 菅義偉(すが・よしひで)首相は、拉致解決を最重要の課題と位置付けた安倍晋三前首相の意志を継承した。ただ、北朝鮮側は菅政権発足後の9月下旬、「拉致問題はわれわれの誠意と努力で既に完全無欠に解決された」と主張するなど、隔たりは大きい。

 菅首相は集会で「米国をはじめとする関係諸国と緊密に連携を取りながら解決まで取り組んでいきたい」と強調した。家族らは具体的成果につなげる戦略と行動を切望している。(中村翔樹、橘川玲奈)

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