【メガバンク再考】求められる目利きの力 くすぶる不良債権問題

 「リーマン・ショックの引き金となった高金利の金融商品に手が出なかったのが幸いした」。ある大手銀行の幹部は、自嘲気味にこう振り返る。

 平成20年9月に起きた世界的な金融危機「リーマン・ショック」。不良債権処理に追われていたため、皮肉にも3メガは高金利の金融商品に手が回らず、欧米銀行と比べれば、結果的に傷が浅く済んだ。

 3メガは22年9月中間決算で最終利益の合計が1兆円を超え、リーマン・ショック前の水準を回復し、財務体質を改善させていく。

 一方で、メガバンクは「雨の日には傘を貸さない」などと揶揄(やゆ)されるようになる。不良債権処理を重視するあまり、業績が少しでも振るわない企業に融資しない、いわゆる“貸し渋り”の問題が生じた。

 問題を解消するため30年7月、金融庁は不良債権処理の象徴ともいえる立ち入り検査を担ってきた「検査局」を廃止。銀行経営の自主性と融資拡大を明確にした。全国銀行協会によれば、貸出金は今年8月まで9年連続で前年同月比でプラスだ。それでも日本はバブル崩壊後、不良債権処理に追われ、「失われた20年」と呼ばれる低成長時代に突入した。

 日本の成長には技術革新が必要だ。銀行には米グーグルなど「GAFA(ガーファ)」のような、若く成長力のある企業を発掘し、育成する「目利き力」の発揮が求められる。

 金融仲介機能という本領を発揮するには、財務体質改善のみならず、さらなる効率化やデジタル化といった自身の経営強靱(きょうじん)化も課題となる。(肩書は当時)(大柳聡庸・西村利也)

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