菅首相がプーチン大統領と初の電話会談 「北方領土問題に終止符を」明言も交渉は前途多難か

 菅義偉首相は29日夜、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と初めて電話会談を行った。両首脳は、政治や経済、文化など幅広い分野で日露関係を発展させることで合意したが、最大の焦点は「北方領土問題」だ。菅首相は、安倍晋三前首相の路線を継承し、「2島引き渡し」を軸に交渉する姿勢だが、日露交渉は多難を極めそうだ。

 「日露関係全体を発展させたい。北方領土問題を次の世代に先送りせず、終止符を打ちたい」

 菅首相は、会談でこう語った。両首脳は会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速化するとした2018年の首脳合意を確認した。

 安倍前首相は、4島一括返還から、歯舞群島や色丹島の「2島先行返還」や「2島引き渡し」にかじを切って領土交渉の打開を図ってきた。菅政権でも、この路線を踏襲するかたちで交渉する姿勢が明確になった。

 菅首相は、プーチン大統領に、北方領土の元島民による航空機を使った墓参の継続を要請した。

 プーチン大統領は「2国間のあらゆる問題について対話を継続していく」と強調したが、対露交渉をめぐる情勢は厳しさを増している。

 ロシアでは7月、領土割譲禁止条項を盛り込んだ改正憲法が発効した。ロシア軍は今回の会談直前、北方領土の国後島や択捉島などの周辺で軍事演習を開始したと発表し、牽制(けんせい)してきた。

 領土問題に詳しいジャーナリストの井上和彦氏は「大原則は『4島返還』だが、動かない交渉を動かす術として『2島返還』はやむを得ない面もある。安倍政権以降、日本は韓国などの周辺諸国への強い外交姿勢を維持している。ロシアもこれを意識しており、放置するままではメリットがないと考えているだろう。難題だが、周辺諸国に毅然(きぜん)とした態度で臨み続けることも重要だ」と語った。

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