大手ポータルサイトも…ネットメディアの著しい“左傾化” 朝日や毎日からネットに移籍、「新聞社ではできなかったこと」の過激な実態

「ポスト安倍」時代の政治とメディア

 連載初回で、「ポスト安倍」時代の左派メディアについて、「反安倍」で凝り固まってきたところから、「そろそろ、現実的な立ち位置を取り戻さないと行き場をなくす」と指摘した。

 しかし、一部はネットに活路を求めている。朝日新聞や毎日新聞などを若くして退社した人たちが、ネットメディアに移籍する動きが目立ってきた。

 ただし、「政治とメディア」の観点から見ると、この人材移動が意外に深刻な事態を引き起こしつつあるように見える。しかも、メディア業界の中ですら、あまり意識されていないことを私は危惧している。

 私が読売新聞を退社した10年前は、新聞社を辞めてネットメディアに行く人材などはほとんどなかった。いや正確にいえば受け皿がなかった。

 だが、2010年代半ば、ハフポスト、バズフィードジャパンといった米系新興メディアの日本版が、国内勢では経済メディアのニューズピックスが、それぞれ創刊。中堅若手が移籍する流れが急速に進んだ。

 既存メディアからも人材が流れたことで、ネットメディアのコンテンツのクオリティーが底上げすることは大歓迎だ。彼らの中には「朝日新聞でできなかったことをやりたい」との意気込みを見せた者もいたが、しかし実態は「第2朝日新聞」の創刊にしかみえない。

 最近では、自民党総裁選の際に岸田文雄政調会長(当時)が自宅テーブルで奥さんと談笑する様子をSNSで公開したところ、ハフポストがその写真を「昭和的な夫婦像」だとレッテル貼りし、逆に批判・炎上を招いた。書いたのは元毎日新聞の女性記者だ。

 バズフィードは初代編集長など朝日や毎日の出身者が多く、さらに過激だ。米国リベラルの運動だった「#MeToo」を日本に輸入しようとし、有名な広告マンをセクハラ案件で血祭りに上げた。SNSでの過激な運動は、確かに古巣の新聞紙面ではできない企画だから本望だろうが、世間がついてきたとは思えない。

 個別の媒体だけでなく、大手ポータルサイトのニュース編集部も独自記事で、左派系有識者の情報発信を後押ししている。

 私が編集長を務めるアゴラが、当時、民進党代表だった蓮舫氏の国籍法違反疑惑を追及したとき、同サイトは独自記事で蓮舫氏の否定する言い分を垂れ流し、ハフポストやバズフィードは人種差別問題に話をすり替えた。

 私は、「右が良くて左がダメ」と言いたいのではない。米国はドナルド・トランプ大統領支持派のブライトバートニュースなど、大手ネット媒体でも保守がいて、言論の左右均衡を保とうとしている。

 しかし、日本では左傾化が著しい。このアンバランスが、「ポスト安倍」時代の言論空間が内包する「新たな危機」になっている。

 ■新田哲史(にった・てつじ) 

 言論サイト「アゴラ」編集長、報道アナリスト。1975年、横浜市生まれ。読売新聞記者、PR会社を経て2013年に独立。ネット選挙のコンサル業務などを経て、15年秋、アゴラ編集長に就任。蓮舫氏の「二重国籍」問題追及など、政治系ネットメディアとして政局に影響を与えてきた。共著に『朝日新聞がなくなる日』(ワニブックス)、単著に『蓮舫vs小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(同)など。

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