大手メディアとの対決も辞さなかった安倍政権 “反安倍”で凝り固まった「左派」は立ち位置取り戻せるか

 【「ポスト安倍」時代の政治とメディア】

 7年8カ月君臨した安倍晋三長期政権が、過去の政権と比べて特異だったのは、朝日新聞をはじめとする大手メディアとの対決も辞さなかったことだ。

 実は、第2次政権初期の朝日新聞の政権批判は穏当だった。2014年衆院選の勝利から半月後の社説(同年12月25日朝刊)は「少数意見にも耳を傾ける丁寧な政権運営を心がけるべき」などと常識的な範囲の注文だった。

 これが一変したのは翌年、集団的自衛権を容認した安保法制成立だろう。国会前デモの異様な過熱に左派メディアは勢いづき、後年のモリカケ騒動、東京新聞の望月衣塑子記者の登場などの呼び水となる。

 NHKの内閣支持率を振り返ると、政権発足から16年まで不支持が支持を上回ったのは、安保論議の時期だけだったが、モリカケ、望月現象が顕在化した17年以降は4度も不支持が上回った。一昔前のように毎年首相が交代する時代なら、メディアと激烈な対立をした政権はとっくに倒されただろうが、安倍政権は踏みとどまった。

 「好調な経済」「戦後最弱の野党」という要因が大きかったが、メディア環境の激変による「ネット世論」の台頭も見逃せない。

 政権発足当時は5割だったスマホ保有率は8割に達し、SNSの利用者も20~40代で7割超(総務省調べ)。ネットメディアが台頭し、政局に影響を与え始めた。

 安倍政権は若年層に支持されてきたことで知られるが、彼らの声を可視化する基盤が整い、政権与党によるマーケティングが高度化した。左派メディア側の世論に対抗する流れを作り出した。

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