競う新省庁…菅氏「デジタル庁」 岸田氏「データ庁」 石破氏「防災省」とは

 安倍晋三首相(自民党総裁)の後継を決める総裁選(14日投開票)をめぐっては、3人の候補者が掲げる独自の省庁再編案にも注目が集まっている。菅義偉官房長官はデジタル化推進の司令塔「デジタル庁」の新設を提案。岸田文雄政調会長はビッグデータの活用を促す「データ庁」の設置構想などに言及し、石破茂元幹事長は災害対策を一元的に担う「防災省」の必要性を改めて力説している。

 「行政のデジタル化は(各省庁の)縦割りが大きな障害になっている。強力に推進する体制づくりが必要だ」

 菅氏は10日の記者会見でこう述べ、デジタル庁新設の意味を強調した。背景には行政手続きのデジタル化に遅れが生じているとの強い危機感がある。新型コロナウイルスの感染拡大では、1人当たり10万円の「特別定額給付金」の支給に際し、オンライン申請での混乱や給付の遅れが表面化した。

 菅氏はデジタル庁に司令塔の役割を担わせ、マイナンバー制度を軸とする行政のデジタル化を加速させたい考えだ。9日夜の日本テレビ番組では、トップに据える人物像について「専門性にたけている(人物)。民間の若い人の力も当然、借りたい」と語った。

 岸田氏も省庁や地方自治体のデジタル化の推進を訴えている。7日の報道各社とのインタビューで「省庁のシステムの共通性が乏しいため社会全体のデジタル化が進まない」と問題提起。行政を含む社会全体のデジタル化を図るため、政府内に「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進委員会」を新たに置く必要性があるとの認識を示した。

 これに加えて岸田氏が打ち出しているのが、ビッグデータの活用を後押しするためのルール作りなどを担うデータ庁の新設だ。医療などに関する膨大な記録を経済成長や新型コロナ対策などに生かす狙いがある。岸田氏は「強力な権限を持つ2つの組織(推進委員会とデータ庁)が必要だ」と強調する。

 石破氏は、平成30年の西日本豪雨の直後に行われた前回の総裁選でも提唱した防災省の設置を掲げる。災害がもたらす被害に歯止めがかからない中、インフラ整備から防災訓練までを一手に引き受ける行政組織が不可欠との考えに基づく。8日の所見発表演説会では「日本のために絶対に必要なものだ」と訴えた。

 一方で、菅氏は防災省について、過去に「屋上屋を架す」と否定的な見解を示しており、安倍政権の継承を掲げる菅氏と、首相と距離を置いてきた石破氏との相違点も浮き彫りにしている。(大島悠亮、永原慎吾)

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