各派閥、早くもポスト皮算用 「官房長官」狙う細田派

 安倍晋三首相の後継を選ぶ自民党総裁選は菅義偉官房長官の優位が動かず、党内の関心は党役員と閣僚人事に集まっている。菅氏は「脱派閥」を強調しているが、菅氏を支持する5派閥は皮算用を始めている。派閥の意向を無視した人事を行って党内の不満が高まれば、政権基盤は不安定になる危険性もはらんでいる。

 最大勢力の細田派(清和政策研究会、98人)は、首相(党総裁)と幹事長は別の派閥から出す「総幹分離」の考え方から、安倍政権下では幹事長ポストは望んでこなかった。同派執行部は「最大派閥として次は幹事長か官房長官のポストは欲しい」と話す。

 菅氏優位の流れを主導した二階俊博幹事長が続投した場合、官房長官を取れるかが焦点だ。別の幹部は「どちらもダメなら選対委員長は取りたい」と話す。

 麻生派(志公会、54人)は、麻生太郎副総理兼財務相や河野太郎防衛相が長く要職にあったこともあり、入閣の適齢とされる衆院当選6回以上で未入閣の「待機組」が残る。麻生氏らを処遇した上で、当選6回の伊藤信太郎元外務副大臣、井上信治元環境副大臣の初入閣を期待している。

 竹下派(平成研究会、54人)では茂木敏充外相の続投が期待されている。現在は同派が持っていない幹事長、総務会長、政調会長、選対委員長の「党四役」のポスト確保も目指している。

 二階派(志帥会、47人)では、二階氏の続投は「当然だ」(同派幹部)とみている。衆院当選8回で同派事務総長の平沢勝栄党広報本部長の入閣を最優先する方針で、ほかに衆院当選6回の議員が初入閣する可能性もある。

 石原派(近未来政治研究会、11人)は衆院当選6回の坂本哲志元総務副大臣の初入閣を悲願としている。菅氏に近い森山裕国対委員長は要職に起用される見通しだ。

 総裁選に立候補している岸田文雄政調会長率いる岸田派(宏池会、47人)の若手は「まずは沈黙でしょう。勝った側が決める。若手の抜擢(ばってき)はあっても『待機組』の入閣は厳しいと思う」と話した。同じく石破茂元幹事長が率いる石破派(水月会、19人)の中堅議員は「冷や飯を食うのは仕方がない」とこぼした。

 菅氏は10日の記者会見で、人事について「首相の専権事項だ。新内閣が発足した後に考えることだ」と述べるにとどめた。

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