次期首相へ立候補3氏 政界の中心で思いを叫ぶ

 安倍晋三首相(65)の後継を決める自民党総裁選が8日告示され、石破茂元幹事長(63)、菅義偉官房長官(71)、岸田文雄政調会長(63)の順に立候補を届け出た。3候補は党本部での演説会と共同記者会見で新型コロナウイルス対策と経済再建を掲げ、石破氏は「グレートリセット」として社会変革、菅氏は経済政策アベノミクスの継承、岸田氏はデジタル時代の成長戦略再構築を主張。14日の新総裁選出に向けスタートした。

 ◆石破元幹事長「成し遂げたいグレートリセット」

 一番乗りの石破氏。演説会で「勇気を持って自由闊達(かったつ)に語れる党、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる党であらねばならない」と強調し、論戦の火ぶたを切った。

 独自カラーの政策として、東京一極集中の見直しと地方創生を掲げ「潜在力のある地方を最大限に生かしていかないとGDPは維持できない」と主張。「循環型、里山の資源を最大限に生かしたサブシステムとしての『里山資本主義』を確立していきたい」と語り、自然災害に対処する防災省の設置も唱えた。

 演説中、じっと前を見つめ、「成し遂げたいのはグレートリセット。この国の設計図を書き換えていく。国の在り方を皆さんと作り直していきたい」と迫力のこもった声で訴えた。

 これまで石破氏は政策の違う安倍首相と対立し、党内で孤立。総裁選でも劣勢となっている。「私は愚直に生きてきた。お利口さんに立ち回ることもできたかもしれない」としつつ「国民が一緒にやろうと言ってくださる納得と共感の政治をやりたい」と訴えた。

 ◆菅官房長官「私のような普通の人間でも首相を目指せる」

 菅氏は党内5派閥の支持で優位に立つ。演説冒頭で安倍首相の政権運営に謝意と賛辞を贈り「アベノミクスを継承し、さらなる改革を進める」と明言。新型コロナウイルス感染防止対策と経済の再建を最優先とした。

 取り組んできた縦割り行政の打破にも意欲を示し、「首相の立場になれば、さらに進めることができる」。コロナ禍で浮上したオンライン教育や診療などの問題を教訓に、行政デジタル化を推進する「デジタル庁」新設も表明した。

 解散・総選挙の時期は「コロナの感染状況を最優先すべきだ」と、早期実施に慎重な姿勢を示した。党役員人事と組閣については「改革意欲のある人、専門的立場の人を優先したい」と訥々(とつとつ)とした口調で語った。ただ、原稿を見るためか、時折視線を手元に落としていた。

 生い立ちにも触れ「五十数年前(秋田から)上京した際、今日の自分の姿は想像できなかった。私のような普通の人間でも、努力をすれば首相を目指すことができる。これが日本の民主主義ではないか」と訴えた。

 ◆岸田政調会長「これまでの人生で多くの失敗…協力してくれる人の心が分かる」

 巻き返しを狙う岸田氏は、アベノミクスを評価し引き継ぐと語った。

 ただ医療や介護の問題などで国民の不安が強まっていると指摘。「国民の協力を引き出す政治が求められている。政治の信頼、政治の『聞く力』を取り戻さなければならない」と格差是正と中間層の復活に取り込む考えを強調。大きな身ぶりを交え「誠実さ」をアピールした。「デジタル田園都市構想」として、ビッグデータを活用した新成長戦略に取り組む「データ庁」創設案も掲げた。

 外相時代の経験から、米中対立の深刻化などで国際秩序が変化している現状を踏まえ「地球規模の課題に旗を振り、ルール作りを先導する日本でありたい」。国際社会でのリーダーシップ発揮を目指すと語った。

 さらに「人生で多くの失敗を繰り返してきた」と明かし、若い頃に同じ大学の受験に3回失敗、高校時代の部活の野球で失敗を重ねたと紹介。「チームに協力してくれる人の心が分かるようになった。自分が輝くのでなく、チームの一人一人を輝かせるリーダーを目指したい」と訴えた。

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