アンチにさえも及ぶ「安倍ロス」 政治家・安倍晋三が愛される理由

有本香の以読制毒

 「安倍ロス」-。先週来、ネット上にはこんな言葉が躍っている。先月28日に辞任を表明した安倍晋三首相への惜別の思い、喪失感を表した言葉である。

 本論に入る前に、読者の皆さまにおわびを申し上げなければならない。先週の本コラムで、「安倍首相の辞任はない」との予測を書いたが、それは見事外れた。言い訳をするつもりはないが、閣僚や自民党の重鎮らも、「前日まで『続投』と思っていた」と口をそろえるほど、首相の真意は捉え難かった。

 「安倍ロス」に話を戻す。SNSを注意深く見ていくと、実は「安倍ロス」に襲われているのが安倍支持者だけではないことも分かる。

 この数年、毎日のように「安倍辞めろ」を連呼してきた一部メディア人や文化人。彼らのアカウントから、快哉(かいさい)の声ばかりが流れてくるのかと思いきや、なぜか以前と同じ、安倍首相への呪詛(じゅそ)が繰り返されている。その様子は、もはや一政治家への批判という域を越え、何かに取り憑かれているようにも見え、怖ろしくさえある。

 SNSといえば、安倍首相の辞意表明直後、私のツイッターにもちょっとした異変があった。

 「辞任会見」の日の深夜に投稿した、安倍首相と昭恵夫人に関する連続ツイートが、ネット用語で言うところの「バズる」現象を呼んだのだ。投稿から5日たった現在、リツイート2万、「いいね」7万。私のツイッターには約31万のフォロワーがいるが、この反響は珍しい。ツイートは次のような内容である。

 1月末、安倍昭恵さんの強い希望で、在日ウイグル人の方々との会食をセットした。昭恵さんは以前からウイグル問題に関心を寄せていて、話がしたいと言っていたからだ。雪の予報が出ていた夜、会食もたけなわ、9時を回った頃に昭恵さんの電話が鳴った。少し話すと、彼女は黙って私にスマホを渡した。

 安倍総理からだった。在日ウイグル人の皆さんを気遣う言葉の後、私に「有本さんもご苦労さま」と仰った。私が「先週、武漢肺炎での水際対策で政府を批判する記事を書きました。言いたいこと言わせてもらってます」と言うと「それは構わない。今夜は雪になるようだから、皆さん、ほどほどにね」とさらに気遣いの言葉があり、電話は一旦切れた。

 その後、もう一度、昭恵さんの電話が鳴り、今度は、その場にいたウイグル人お一人お一人に電話をかわって、直接言葉をかけていた。皆、「総理に励ましていただいた。最近落ち込むことが多かったが、これでまた頑張れる」ととても喜んだ。

 私もこの夜のことは生涯忘れないと思った。しかし、こういう話は現職でおられる間、メディアでは明かせない。おかしなことだが、それが今の日本だ。もちろん、ご夫妻もこういう出来事を見せびらかすようなことを全く望んでいない。それほど誠実で温かいお二人だ。

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