検証92カ月 防衛 日米同盟強化に寄与 敵基地攻撃能力取得へ道筋

 「安倍政権の実績になるはずだったのに…」

 安倍晋三首相が辞任を表明した8月28日夜、政府高官は、こうため息をついた。「実績」とは、首相が意欲を示していた敵基地攻撃能力の取得だ。

 この2日前、国家安全保障会議(NSC)では敵基地攻撃能力に関する素案がまとめられていた。すでに辞任を決意していた首相が執念で書き上げさせた。首相は記者会見で抑止力強化について「速やかに与党調整に入り、具体化を進める」と強調した。

 北朝鮮の弾道ミサイルへの対処が喫緊の課題だが、より深刻な脅威は急速に軍事力を拡大している中国だ。米国に防衛を依存してきた日本が役割と能力を拡大することで、日米に有利な軍事バランスを維持する-。これが安倍政権が取り組んだ問題だった。

トマホーク導入打診

 集団的自衛権の限定行使を可能にする安全保障関連法の成立(平成27年)は、安倍政権の疑いの余地のない実績だ。他国との情報共有に必要な特定秘密保護法成立(25年)や防衛費の8年連続増額も含め、一連の政策は日米同盟の強化に寄与した。

 24年末の第2次安倍政権発足当初、日米同盟は決して盤石ではなかった。旧民主党政権が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の見直しなどで信頼関係を損ねたからだけではない。

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