安倍首相が辞意表明 「拉致問題解決できず痛恨の極み」

 安倍晋三首相は28日、官邸で開いた記者会見で、辞任する意向を表明した。持病の潰瘍性大腸炎が再発したとし、「国民の負託に自信を持ってこたえられる状態でなくなった以上、首相の地位にあり続けるべきではないと判断した」と述べた。歴代最長を誇った政権は平成24年12月の第2次内閣発足から約7年8カ月で幕を閉じる。自民党は9月にも後任を選ぶ党総裁選を行うが、候補として菅義偉官房長官や石破茂元幹事長、岸田文雄政調会長らの名が浮上している。

 首相の説明によると、6月の人間ドックで潰瘍性大腸炎の再発の兆候が見つかり、7月中旬頃から体調に異変が生じた。今月上旬に再発が確認され、慶応大病院を受診した24日に辞任を決断したという。

 首相は、新型コロナウイルス対策を進める中で辞任することについて「国民に心よりおわびを申し上げる」と謝罪した。残された課題として北朝鮮による日本人拉致事件とロシアとの北方領土交渉、憲法改正を挙げ、「拉致問題をこの手で解決できなかったことは痛恨の極みだ」と語った。

 この時期での辞任を決断した理由として、新型コロナ対策に一定のめどがついたことも挙げた。首相は「7月以降の感染拡大が減少傾向へと転じた。冬を見据え、対応策をとりまとめることができたことから、新体制に移行するのであればこのタイミングしかないと判断した」と述べた。

 後任を選ぶ党総裁選は「総裁を辞めていく立場であり、次の総裁選に影響力を行使しようとは全く考えていない」と述べ、意中の候補を言及しなかった。ただ、首相に必要な資質として「しっかりとしたビジョンを持ち、責任感と情熱を持った方だ。チーム力も重要ではないか」と語った。

 安倍政権の成果として、東日本大震災からの復興や雇用創出、幼児教育・保育の無償化などを挙げた。外交・安全保障分野では集団的自衛権の限定行使を可能にする安全保障関連法などを挙げた。

 首相は職務臨時代理を置かず、新首相が選出されるまで公務に当たる。来年10月に任期満了となる次期衆院選に関しては「有権者が判断することだが、一議員として仕事をしていきたい」と意欲を示した。

 首相は平成18年9月に第1次内閣を発足させたが、潰瘍性大腸炎が悪化して約1年で退陣した。しかし24年12月に首相に返り咲き、今月24日には連続在職日数で歴代最長になった。

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