実感なき景気回復 消費税増税2度の延期で後退期に実施

 平成24年12月から始まった景気拡大が30年10月に終わり、政府が当初「戦後最長」の可能性を指摘していた記録更新は幻となった。第2次安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」で、株価や企業業績が回復し景気拡大に寄与したが、その効果はだいぶ前に薄れ始めていた。2度にわたる延期の末、結果として景気後退期だった昨年10月に消費税増税を実施した政府の判断も問われそうだ。

 「戦後最長になったとみられる」。昨年1月、当時の茂木敏充経済再生担当相(現外相)は記者会見でこう述べた。この時、政府は月例経済報告で雇用や所得改善などを背景に「景気は緩やかに回復」としていた。だが、内閣府の30日の認定ではこの時点で既に景気後退に入っており、アベノミクス効果がはがれつつあった。

 こうした認識の“ズレ”について西村康稔経済再生担当相は30日の会見で「政府としての景気判断は(国内総生産なども含め)総合的にしてきたので、間違っていなかった」と釈明。今回、景気拡大の頂点である「山」を認定した内閣府の判定手法について、見直しを検討することを明らかにした。

 今回の景気拡大の起点は第2次安倍政権が誕生した24年12月。日本銀行の異次元の金融緩和が円安をもたらし、輸出増を背景に企業業績が伸びて株価も回復した。ただ、規制改革などによる成長戦略は遅れた。

 ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長の試算によれば、今回の景気拡大期の雇用者報酬の年平均伸び率は2・1%。「バブル景気」(昭和61年12月~平成3年2月)の6・7%などと比べ大きく見劣りし、生活の実感も乏しかった。

 消費税増税の時機を見誤った感も否めない。政府は平成27年10月だった税率10%への引き上げを景気への配慮から、29年4月に先送り。その後、リーマン・ショック前の状況と似ているなどとして再延期した経緯がある。結果として景気拡大期の増税を逃した。

 斎藤氏は消費税増税について「(増税の)タイミングは別として、個人消費の実力からすると無理があった」と指摘した。(大柳聡庸)

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