尖閣侵入の中国公船「沈めてしまえ!」の罠 現場は国際法を熟知してギリギリの対応

ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!

 沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域に、中国公船が侵入を続けています。このままでは、22日で「連続100日」になります。この間、領海にも頻繁に侵入し、今月初めには尖閣国有化以降最長となる39時間23分にわたって領海侵犯を続けました。

 こうしたニュースを目にすると、「なぜ追い払えないのか!?」「沈めてしまえ!」という勇ましい論が出てきますが、敵もさるもの。こうした強硬論は、日本の国際法違反を誘う罠のようなものです。海上保安庁の関係者に話を聞くと、現場は国際法を熟知したうえでギリギリの対応をしているようです。

 まず、「無害通航権」というものが国連海洋法条約で担保されています。中国公船であろうとも、領海やその外の接続水域にいるというだけで排除することはできません。ただし、通過するだけなら無害ですが、そこに居座り続けるとなると、もはや無害ではありません。沿岸国(日本)は取り締まることができます。

 ですが、これは相手が漁船のような私船の場合。軍艦の場合、退去を求めることができますが(同条約30条)、それ以外の取り締まりは免除されます(同32条)。政府公船に関しても軍艦に準ずるという学説が有力で、海上で海保ができることは退去の要求などに限られます。

 漁船に対して行うような、放水や立ち入り検査はできない中で、領海に入ってくれば退去を要求し、その前段階で接続水域では領海に入らないように針路を規制するなどの対応をしているのです。

 相手の中国海警局の船は大型化著しく、機関砲を取り付けるなど打撃力も増しています。もちろん、海保側も大型船を投入していますし、専従体制を作って人員も増強していますが、彼我の予算の差、物量の差を現場の頑張りで何とかカバーしているのが今の状況です。

 事ここに至れば、いつ中国の官憲、民間人が上陸しないとも限りません。海上での海保の頑張りは今や限界に達しようとしています。このままでは、紛うことなき「日本国固有の領土」である尖閣諸島が、領土紛争を抱える紛争地と国際的に認識されかねません。より明確な主権の行使を内外に見せなければならない状況になってしまっていると思います。

 固有の領土ですから、日本人が自由に出入りし、常駐することが当然なのですが、長年無人島だったところにいきなり拠点を作るようなことは物理的にも難しいし、時間がかかります。

 一方で、島やその周辺には希少な生態系が存在しているとされていますから、まずは官民による海洋科学調査を行うというアイデアもあります。自民党の「日本の尊厳と国益を守る会」(代表・青山繁晴参院議員)が提案していますが、ここは官民挙げて知恵を絞るべきではないでしょうか。

 ■飯田浩司(いいだ・こうじ) 

 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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