「Go To」険しい東京復帰の道 見えぬ感染者減…客観基準もなし

 観光支援事業「Go To トラベル」の割引対象に東京を「復帰」させられる日は来るのか-。政府はその手腕を問われている。新型コロナウイルスの感染防止と経済回復は安倍晋三政権の最大の使命といえる。ただ、東京の感染者が急減する見通しは立っておらず、復帰に向けた客観的な基準もない。道のりは険しい。

 ■小池都知事、テレビ会議で不快感

 「都民も一刻も早くキャンペーンを使って旅行を楽しめるよう、協力して感染防止策に万全を期したい」

 西村康稔経済再生担当相は17日、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の知事とテレビ会議形式で会談し、小池百合子都知事らにこう呼び掛けた。出席者によると、小池氏は「突然の変更で、現場は混乱している」と不快感を示したという。

 政府の新型コロナ対策分科会(会長=尾身茂・地域医療機能推進機構理事長)は16日の分科会で「感染が落ち着いてきた際は(東京が)実施しても差し支えない」と提言。赤羽一嘉国土交通相は17日の記者会見で、同事業について「大変大きな額だ。東京都についても当然考慮する。国民の税金なので出遅れたところも不公平がないよう配慮したい」と述べた。

 だが、除外の決定は政治判断だった側面が強く、明確な基準があったわけではない。このため、復帰に際しても基準はない。分科会で復帰の話題はほとんどなく、逆に感染拡大によって神奈川、埼玉、千葉の3県や関西圏などを対象から外す可能性が話題となった。

 ■感染者、徹底して隔離するしか…

 新型コロナに関する厚生労働省の助言組織は14日、「7月以降、東京近郊のほか、宮城、三重、鹿児島、山形などでも東京都への移動との関連性を疑う事例が見られる」との分析を公表した。感染症の専門家は事態を深刻に受け止める。

 ワクチンが実用化されていない以上、感染者を徹底して隔離するしか感染を断ち切る方策はない。西村、尾身両氏が繰り返し検査拡充を訴えているのはこのためで、対策が最も必要なのは東京といえる。感染対策が不十分な事業者への休業要請を含め「オール東京」で取り組まない限り、復帰は見えてこない。

 (沢田大典)

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