罪なき被害者と2500万人の悲しみ 半世紀続く金一族の拉致政策 ハドソン研究所カークパトリック氏寄稿

 昭和52年11月に北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=の父、滋氏が今月5日に亡くなったことを受け、米シンクタンクのハドソン研究所上級研究員で「北朝鮮からの脱出:アジアの地下鉄の語られない物語」などの著書があるメラニー・カークパトリック氏が、北朝鮮の拉致政策について、産経新聞と「JAPAN FORWARD」に寄稿した。内容は以下の通り。

 横田滋氏の死去は、北朝鮮が1970~80年代の拉致計画の下で実行した残虐行為を思い出させた。拉致の犠牲者の一人、横田氏の娘、めぐみさんは13歳のときに、新潟県で学校からの帰宅途中、北朝鮮の工作員に拉致された。

 めぐみさんは北朝鮮に連行され、スパイ養成所で日本語を教えることを強制された。横田氏と夫人の早紀江さんは、拉致事件について何十年にもわたって啓発活動を行うとともに、めぐみさんや他の拉致被害者の帰国に向けた取り組みを進めるよう日本政府に訴え続けてきた。

 日本は北朝鮮によって国民が拉致された国々の中の一つに過ぎない。米ワシントンの北朝鮮の人権委員会は、北朝鮮が少なくとも14カ国の国民を拉致した証拠を集めた。すなわち、韓国、中国、フランス、ギニア、イタリア、日本、ヨルダン、レバノン、マカオ、オランダ、マレーシア、ルーマニア、シンガポール、タイだ。

 このリストに米国を付け加えたい。デービッド・スネドン氏、2004年に中国で消息を絶った米国人学生だ。彼は、北京での数カ月の留学を終え、帰国を前に、雲南省で休暇を過ごしていた。2013年、東京でインタビューした古屋圭司拉致問題担当相(当時)はこう語った。「米国人が北朝鮮に拉致されている可能性が非常に高い」。

 日本政府が拉致被害者として認定しているのは17人に過ぎないが、おそらく数百人の日本人が同じ被害に遭っているとみられる。また、韓国人拉致被害者は、漁民、兵士、学生、一般人らで数千人にも上る。

 何とか帰国できたレバノンの拉致被害者は、北朝鮮のスパイ機関で、フランス、オランダ、イタリア人の女性を見たと報告している。北朝鮮はそれらに関する一切の情報の提供を拒んでいる。

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