尖閣を守る海人の心意気 石垣市民に敬意と感謝 「国を守る」と約束した安倍政権も気概を見せよ

有本香の以読制毒

 日本固有の領土、沖縄県・尖閣諸島が狙われている。中国海警局の武装公船など4隻が24日、領海外側にある接続水域を航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認したのだ。国有化以降、最長の72日連続となる。安倍晋三政権や沖縄県の断固たる姿勢が求められるなか、海上保安庁は冷静かつ毅然(きぜん)と領土・領海を守り続け、尖閣諸島を行政区域として管轄する同県石垣市は、住所地の字名を変更して主権の存在を示した。このタイミングで、尖閣周辺で漁港活動を行った地元ウミンチュ(海人)らの心意気とは。ジャーナリストの有本香氏が人気連載「以読制毒」で迫った。

 拉致特別委員会の質疑もされないまま、5カ月間の通常国会が先週(17日)閉会した。予算審議にコロナ禍が重なったため、「例年の何倍も忙しい国会だった」という議員もいるが、そんな言葉を鼻白んで聞く間にも、コロナとは別の国難が迫ってきている。

 今月8日には、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国公船の領海侵入が今年10回目を数えたばかりか、操業中の日本漁船を追い回す事態にまで至ってしまった。まさに悪夢である。

 8年前、当時野党だった自民党の総裁選に電撃立候補した安倍晋三氏が、候補者討論で述べた言葉を今、思い出さずにいられない。

 「(東日本)大震災を通じて私たちは、私たちにとって大切なものは何か、守るべきものは何かを学ぶことができました。それは大切な家族であり、いとおしい故郷であり、かけがえのない日本であります。今、日本の海が、領土が、脅かされようとしています。断固として守るという決意を示していかなければなりません」

 この力強いメッセージは、総裁選への投票権を持つ自民党員のみならず、多くの国民の心に響いた。だからこそ、その3カ月後の総選挙で安倍自民は圧勝したのである。そして、今日までの7年半、憲政史上最も長い期間、安倍政権を支えたのは、あの言葉に共鳴し、「日本を守りたい」と願った国民だったはずだ。

 しかし、最近はその岩盤支持層からも「まさか安倍政権の間に、尖閣がこんなことになろうとは思いもしなかった」という声が聞かれる。

 にもかかわらず、自民党内の危機感は薄い。「ポスト安倍」に色気を見せる人たちは、党内での自己アピールに余念がない。若手議員は国会閉会と移動自粛解除を「待ってました」とばかりに地元へ一目散だ。いずれも悪いことではないが、彼らの頭の中心に、拉致や尖閣は、どう見てもない。野党の非力をいいことに、与党も使命を見失っている。

 日本の歴史をひもとくと、海の向こうから「国難」が押し寄せようかというとき、中央がピリッとしなかった悪しき例が幾度かある。

 平安時代の「刀伊(とい)の入寇」(=1019年、女真族=満洲民族=の一派とみられる集団を主体にした海賊が壱岐・対馬を襲い、さらに筑前に侵攻した事件)の時しかり、幕末の「黒船来航」時しかりだ。

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