めぐみさんとの再会叶わず…横田滋さん死去 安倍首相「痛恨の極み」 西岡力氏「理不尽さに怒り覚える」

 北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=失踪当時(13)=の父で、拉致被害者家族会初代代表の横田滋さんが5日午後、老衰のため死去した。87歳。国民が拉致を信じなかったころから全国各地の街頭に立ち、娘の救出を訴え続けてきた。善良な人々の人生を踏みにじった、北朝鮮の許しがたい拉致行為。安倍晋三政権は「拉致問題の解決」を最優先課題に掲げてきたが、間に合わなかった。

 「痛恨の極みだ」「滋さんが(妻の)早紀江さんとともに、その手でめぐみさんを抱きしめる日が来るようにとの思いで全力を尽くしてきたが、首相として、いまだに実現できなかったことは断腸の思いであり、本当に申し訳ない思いだ」

 安倍首相は5日夜、言葉を詰まらせながら、都内の私邸前で記者団にこう答えた。

 滋さんが日銀新潟支店に勤務していた1977年11月15日、新潟市立寄居中1年だった長女めぐみさんが下校中に失踪した。約20年間消息不明だったが、97年、亡命工作員の証言などで北朝鮮に拉致された疑いが浮上した。滋さんは同年結成された拉致被害者家族会の初代代表に就任。早紀江さんと救出運動の先頭に立ち続けた。

 麗澤大学客員教授で、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)」会長の西岡力氏は、「闇の中にあった拉致問題は、実名を出して世論に呼びかけた滋さんの勇気ある行動によって表に引きずり出された。ただ、97年から23年間ともに活動してきて、めぐみさんに合わせることができず、悔しいし申し訳ない。なぜ、父が娘に会えないまま天国へ行かなければならないのか、理不尽さに怒りも覚える」と語った。

 今後の活動については、「北朝鮮が『全被害者の即時一括帰国』に応じるまで、強い圧力をかけ続けるよう、安倍首相にお願いしている。北朝鮮は、経済制裁やコロナ禍で経済的打撃を受けている。ブレずに力強く求めてほしい」と語った。

 拉致問題は、日本の外交力だけでは解決が難しい。安倍首相は、同盟国・米国のトナルド・トランプ大統領を説得して、米朝首脳会談などで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に、問題解決を要求している。

 米カリフォルニア州弁護士であるケント・ギルバート氏は「北朝鮮による拉致は絶対に許せない。こんなむごいことはない。北朝鮮は『金王朝の存続』を最優先に考えており、人権などまったく考えていない。米国や中国、ロシアも認識していたが、『非核化の問題』などを最優先して、後回しになった感は否めない。もはや先送りは許されない。安倍政権は今一度、問題解決に力を入れてほしい。トランプ氏は何度も拉致問題に言及しており、再選されれば動き出すはずだ。日米ですべてのコネクションを利用して、問題解決に向けて全力を尽くしてほしい」と語った。

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