コロナ恐慌…50兆円「真水」で日本はV字回復! 前例なき政策総動員が必要、消費税の時限的な引き下げも

 戦後最悪の事態が懸念される「コロナ恐慌」。4~6月期の国内総生産(GDP)は年率換算20%台のマイナスも予測されるなか、V字回復には前例のない政策総動員が必要だと説くのは、「アベノミクス」の指南役として知られた本田悦朗・元内閣官房参与だ。本田氏は緊急寄稿で、個人への所得補償や中小企業への資本注入による倒産防止を軸に、2次補正予算では国債増発を伴う「真水」で50兆円の規模が必要だと指摘、消費税率5%への時限的な引き下げも提言する。

 グローバル化の波に乗って世界中に蔓延(まんえん)した新型コロナウイルスは、わが国ではようやく沈静化する気配も見受けられるが、まだ油断はできない。世界に猛威を振るったスペイン風邪のように、コロナ禍も大波が再度襲ってくるかもしれず、常に不透明感が付きまとう。コロナとの闘いは長期戦なのである。

 コロナ感染を封じ込めるためには、外出自粛、休業要請はやむをえない。しかしその結果、経済活動は著しく抑制され、所得や企業利潤が低下または消滅する。先般の第1次補正予算で1人当たり10万円の定額給付が決まったが、これは「貧困対策としての福祉政策」ではなく、個人の生活を支える「所得補償」である。

 定額給付は生活資金の補償なので一刻を争う。だから、現在の給付には異論を招きかねない所得条件が入っていない。今国会中の6月中旬に成立が期待されている2次補正にも、公平の観点からは異論はあるかもしれないが、所得条件を付けることは困難である。しかし、給付金を累進所得税の課税対象に含めることによって、高い税率が適用される高所得者と課税最低限を下回る低所得者との公平を事後的に図ること、また、給付金を寄付した場合の寄付控除を拡充することは有益であろう。

 他方、企業はさまざまなリスクを前提として活動するものであり、個人の場合と事情は異なるが、政府や自治体の休業要請に応えた結果としての損失なので、相当の支援が必要である。

 当面重要なのは、資金繰りや雇用継続支援の充実であるが、損失が累積すると過小資本や債務超過の問題が発生するので、中小企業への資本注入を準備すべきである。 その手段としては、実務上資本とみなされる「永久劣後ローン」(=返済期限が定められておらず、返済の受け取りが劣後する融資)の活用が適切であり、これまで取引民間銀行が蓄積してきた当該企業に関する情報を活用すべきである。企業はこれまで営業ノウハウを蓄積してきた有機体なので、可能な限りコロナ禍による倒産や廃業を避けるべきである。

 2次補正の規模については、GDPギャップ(=一国経済全体の総需要と供給力の差)が本年度で70兆円を超えるという試算もあり、前回の補正のうち緊急対策として直ちに直接効果のある真水が20兆円程度とすれば、次回以降は50兆円でも何ら問題ない。今後の推移を見つつ、大胆な政策を期待したい。

 緊急事態宣言が解除されても、当分、自粛要請は続くだろう。まして、第2波、第3波が来るとしたら将来を見通すことが極めて困難となる。

 行動規制が解除された後は、需要拡大策が必要だが、今回のコロナ禍の場合は、生産調整の拡大やサプライ・チェーン(供給連鎖)の分断によって、供給能力も落ちている。従って、消費が回復すればスタグフレーション(不況下のインフレ)の可能性もあるが、その後、所得が回復せず、やがて消費も落ち込み、デフレに戻る可能性が高い。

 既に長期金利はほぼゼロとなっているので、デフレから脱却し、経済を正常化するためには財政出動とその原資たる国債を日銀が購入することによって金利上昇を抑制することが、最も効果的である。消費税の税率5%への時限的減税も実行すべきである。今後50兆円程度の国債の増発は、早急に経済成長率をプラスにし、財政の持続性を確保するためにも必要であろう。コロナとの闘いで勝利するためには、将来への明るい展望を促進する政策が欠かせない。

■本田悦朗(ほんだ・えつろう) 1955年生まれ。東大法学部卒業後、78年大蔵省(現・財務省)入省。四国財務局長、外務省大臣官房審議官(欧州局担当)、欧州復興開発銀行(EBRD)日本代表理事、財務省大臣官房政策評価審議官などを歴任。退官後の2012年、第2次安倍内閣の内閣官房参与として、アベノミクスの指南役を務める。16年駐スイス大使に就任、19年に退任し、TMI総合法律事務所顧問、明治学院大客員教授。著書に『アベノミクスの真実』(幻冬舎)など。

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