日本が主導「環太平洋合同演習」で中国進出を牽制へ 世界がコロナに苦しむなか、活発な動き見せる中国軍

 8月に米ハワイで行われる米海軍主催のリムパック(環太平洋合同演習)が、日本政府の強い働きかけで実現することが分かった。米国側は当初、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を踏まえて中止する意向だったが、中国軍による東・南シナ海などでの軍事的挑発を念頭に、日本側が開催を要望し、米国側も同意した。

 リムパックは2年に1回行われる世界最大規模の多国間海上演習。前回の「リムパック2018」には、米国や日本、英国、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、インド、ブラジル、イスラエル、韓国、ベトナムなど26カ国から、艦艇47隻、潜水艦5隻、航空機約200機、人員約2万5000人以上が参加した。今年は開催年にあたる。

 日米関係筋によると、米側が新型コロナウイルスの影響で中止する方針を伝えたところ、日本側は「こんな時だからこそ、どんな形でもやるべきだ」と説得したという。世界各国が新型コロナ対策に苦しむなか、中国軍が活発な動きを見せているためだ。

 中国海軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊は4月11日と28日に初めて、沖縄本島と宮古島間を通過した。中国軍のミサイル駆逐艦や早期警戒機なども3月以降、沖縄や台湾周辺で挑発的行動を見せている。

 さらに、中国軍が8月、同国南部・海南島沖の南シナ海で、台湾が実効支配する東沙諸島の奪取を想定した大規模な上陸演習を計画していると、共同通信が11日、スクープした。中国は、南シナ海の岩礁を次々と軍事拠点化しており、独自の行政区まで設定している。

 米海軍の空母やミサイル駆逐艦では新型コロナウイルスの大量感染が発生しており、中国軍の行動は米側の状況をうかがう狙いもあったとみられる。

 こうしたなかでリムパックを中止すれば、中国軍は「新型コロナウイルスが米軍の態勢に深刻な影響を及ぼしている」と誤った解釈し、現場レベルで不測の事態が発生する恐れもある。

 日米両政府は、新型コロナ収束後を見据えた政治的メッセージを発する上でも、リムパックを開催すべきだという点で一致した。

 リムパックの期間は通常1カ月以上だが、今回は8月17~31日の約2週間に短縮。水上訓練や対潜水艦訓練は行うが、地上訓練などは見合わせる。自衛隊は水上艦を派遣する一方、固定翼哨戒機は中東海域での情報収集などで負担が増していることもあり、参加を見合わせる。

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