海賊版サイト対策の行方 「違法化範囲は限定を」「議論は性悪説前提で」

 【日本の議論】著者らの許可なく、漫画作品などをインターネット上で公開する「海賊版サイト」対策に関し、文化庁の有識者検討会が、軽微なダウンロード(DL)を違法としないことなどを柱とする報告書をまとめた。同庁は通常国会への著作権法改正案提出を目指すが、規制対象をめぐる意見の相違は残る。検討会のメンバーだったNPO法人「うぐいすリボン」理事の荻野幸太郎氏とコンテンツ海外流通促進機構(CODA)代表理事の後藤健郎氏に聞いた。

荻野氏「違法化範囲は限定を」

 --検討会での議論を終えて

 「全体的にアンバランスだったと感じている。権利者側の人たちは漫画のような商品を著作物として考えているようだが、規制対象が著作物全般になると何でも含まれることになる。例えば、会社や団体で作成された資料や、公文書でも場合によっては著作権が主張されることがある。広い範囲の問題を議論するという意識が十分共有されていなかったのではないか」

 --二次創作を規制の対象外にするなど配慮もあったが

 「配慮された部分も局所的だったと思う。クリエーター活動に対する対応はかなり行われたが、公益的な問題が解決されずに残った」

 --公益的な問題とは何か

 「オンブズマン活動や調査報道、消費者保護活動などへの影響が考えられる。例えば、ある組織の不正を明らかにするため、組織の許可なくネットに上げられた内部資料を、ダウンロードしたら違法になる恐れがある。これまで不正告発者が訴訟を起こされることがあったが、問題に興味を持って情報にアクセスしようとする受信者を脅す手段を、不正組織に与えることにつながりかねない」

 --検討会では、規制対象を「著作権者の利益を不当に害する場合」に限定するかで意見が割れた。荻野さんは限定に賛成だったが、その理由は何か

 「例えば、政治家のブログに、何か重大な決断をほのめかすように、許可なく歌詞が丸ごと貼りつけてあったとする。この場合、政治に興味を持つ国民が政治家の投稿をダウンロードしたら、違法になる恐れがある。検討会では『例外的だ』との指摘があったが、例外的な行為を守るためにはこういった抽象的な限定が必要だと思う」

 --一般国民がネットで情報収集する際の懸念はあるのか

 「著作物をネットに上げる側は許可を取るなど対策を取ることができるが、受信する側はいや応なく巻き込まれる」

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