「徴用工問題」韓国国会議長案は大きな“禍根”を残す! 第2、第3の事案発生の懸念

 【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】

 いやぁ、驚きました。てっきり破棄すると思っていた日韓の軍事機密包括保護協定(GSOMIA)を、韓国が土壇場で「条件付きで延期」したのですから。

 日本政府は、韓国側の輸出管理が安全保障上問題であるため、輸出基準の見直しを行いました。これに韓国政府は「安保上信頼ができない相手と情報の融通はできない」との理屈で、GSOMIA破棄を一方的に通告してきました。

 輸出基準の見直しは、韓国側が輸出管理を改善すれば再考の余地があります。一方、GSOMIAは日米韓と東アジア全体の安全保障の問題です。本来、まったく別の問題を一体にして取引しようとしたわけですね。

 日本側にも、「GSOMIA」と「輸出基準見直し」を1つの問題のように伝える報道があります。相手の土俵に乗って論評しているという点で、少なくとも日本国民に誤解を生み、かえって問題解決を遠ざけるように思えてなりません。

 さらに、いわゆる「元徴用工」(=徴用ではなく、募集に応じた募集工も多々いる)の問題まで絡めて報じる向きもあります。韓国国会議長の「日韓基金」設立の提案は以前触れましたが、慰安婦財団の残金流用などあり得ませんし、他にも実は大問題があります。

 そもそも、この徴用工問題は昨年10月の韓国大法院判決が元です。これは、日本企業に対し、戦時中の徴用工募集工への賠償請求を、韓国の最高裁にあたる大法院が認めたものです。

 日本側は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」とし、韓国内での対処を求めましたが、大法院は「植民地支配は不法な強制的な占領であり、この支配と直結した不法行為などは請求権協定の対象に含まれていない」「個人の請求権も協定に含まれたと見るのは難しい」として原告の主張を認めたのです。

 つまり、日本が朝鮮半島の統治を始めた1910年以降は不法な占領なのだから、日本が関係する企業や個人、あるいは政府から受けた不利益に関して、個人の請求権が認められたわけです。

 ということは、問題は徴用工にとどまりません。仮に、韓国国会議長の案に従って基金を運営する「記憶人権財団」を設立し、日韓の企業と個人の寄付金から慰謝料を拠出しても、第2、第3の事案で、同じようにもめ続けるでしょう。

 戦時中の政府は、日本国民にも徴兵や徴税などで、さまざまな無理を強いましたから、それら一つ一つの施策が訴訟の元になるかもしれません。そうした訴訟乱発で関係が悪化するのを避ける知恵が、日韓請求権協定だったはずなのです。

 日本のメディアや政治家の中にも「韓国国会議長案以外に解決の道はない」と評価する方がいますが、将来に大きな禍根を残すと思います。

■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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