土壇場で破棄を回避したGSOMIA 日韓議連の存在意義とは

 日韓関係がこじれた根本原因のいわゆる徴用工問題も、韓国側は従来の主張を繰り返すだけで、平行線に終わった。

 議員外交で両国が納得する解決策が簡単に出てくるとは思えないが、問題だったのは、日韓議連が韓国側のペースに乗せられ、日本側の立場を十分主張できなかったことだ。

 例えば、昨年12月の声明では、慰安婦問題をめぐる日韓合意に基づく「和解・癒やし財団」の解散や徴用工訴訟について、韓国政府に適切な対応を求めたが、今回は「深い憂慮」が示されただけで、表現ぶりは後退した。

 さらに今回の総会では、日韓の国会議員によるテーマ別の分科会が開かれたが、慰安婦問題や韓国海軍艦による自衛隊機へのレーダー照射問題を取り上げる日本側の国会議員はいなかった。

 総会に出席した自民党の中堅議員は「日韓議連は仲良しクラブみたいなもので、突っ込んだ議論はできない」と自嘲気味に語る。

 一方、韓国側の主張はしっかり盛り込まれた。韓国側は声明で、永住外国人への地方参政権付与についても迅速な法整備を求め、日本側は「実現に向けて今後とも一層努力する」とした。

 声明では、韓国側の呼び掛けで来年夏の東京五輪・パラリンピックの成功に向け「交流・協力実行委員会」を両議連に設置することを明記した。しかし、韓国国会は9月に旭日旗の持ち込みを禁止するよう国際オリンピック委員会(IOC)に求める決議を採択したばかりだ。これに対しても日本側は明確な抗議せず、来年の大会に向け火種を残してしまった。

 超党派議連ゆえに一枚岩になれない背景もある。議連には共産党や社民党、立憲民主党の議員も参加し、必ずしも政府・与党の外交方針と合わない主張をする者もいる。日韓議連の幹部も「韓国側はおおむね考えが一致しているが、こちらは意見集約が難しい」と苦しい胸の内を明かす。

 とはいえ、このままでは何のための議連なのか存在意義が問われてしまう。日韓議連関係者は「政府間が冷え込み、苦しいときこそ議連の交流が重要になる」と語る。ただ、相手にいい顔だけを見せ、間違いを真剣に指摘できないようでは、議連が目指す未来志向の二国間関係など築けるはずがない。「仲良しクラブ」は、だれからもまともに相手にされないのだ。(政治部 広池慶一)

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