谷垣元総裁、安倍一強や後輩政治家に語った「楕円」のススメ

謙虚に耳を傾けて

 「川を守るという大きな意味では共通の利害がありながら(それぞれの流域などで)微妙な利害の差がある。有権者と対話していけば、いろんな問題が、微妙な問題が絡んでいるということが分かってくる」

 台風19号などの甚大な被害を受け、河川や堤防の整備などを求める声が党内外から上がっている。だが、谷垣氏は安易な議論を戒める。

 仮に中流域が決壊したからといってその部分の堤防を強化すれば、次は川の水が下流や上流に向かう恐れがあり、その地域の住民が反発することも考えられるからだ。声高に叫ぶだけでなく、あらゆる方面に耳を傾け、目配せをしたうえでリーダーシップを取っていくことこそ政治家の役割と説く。

 野党に転落した自民党の総裁だった谷垣氏が始めたのが、数十人規模の参加者が党所属議員とひざ詰めで話し合う「ふるさと対話」集会だった。失った信頼を取り戻そうと、地方を回って有権者の声を聞いてまわった。

 「自分の選挙区を歩き回って、やっぱり対話を繰り広げていくということしかない」

 谷垣氏が率いた野党自民党は、「ふるさと対話」を通じてコツコツと声を吸い上げ、国政選挙や大型の首長選で連勝を重ね、政権復帰への道筋を作った。今の自民党では、安倍内閣の高い支持率にあぐらをかき、しっかり汗をかかない議員も少なくない。

 激動の政治家人生をくぐり抜けた谷垣氏は、改めて国民の声に耳を傾ける大切さを呼びかけたが、後輩らの胸には届くだろうか。(政治部 田村龍彦)

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