礼砲発射「緊張の連続」 山梨・北富士駐屯地の戦砲隊長

 天皇陛下が即位を宣明された10月22日の即位礼正殿の儀の際に発射された21発の礼砲。担当したのは唯一の礼砲部隊である陸上自衛隊北富士駐屯地(山梨県忍野村)の第1特科隊だ。戦砲隊長の大役を果たした長野県山形村出身の1等陸曹、小林義将さん(37)は「緊張の連続だった」と振り返る。(渡辺浩)

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 礼砲は、主に国賓を迎える際に敬意を表すために撃つ空砲で、皇室の行事で行われたのは平成の即位の礼以来です。

 第1特科隊は首都圏を守る火砲部隊です。礼砲は4つの中隊が持ち回りで担当していて、今年の夏に私たち第1中隊が今回の担当を命じられました。上官に「名誉ある任務を絶対に完遂します」と誓いました。

 その後、第1特科隊は千葉県の台風被害の復旧や、道志村で行方不明になった女児の捜索に派遣され、多忙だったのですが、準備を粛々と進めました。

 私たちは普段はFH70という155ミリ榴弾(りゅうだん)砲で訓練していますが、礼砲は既に現役を退いている105ミリ榴弾砲を4門使い、それぞれを5人ずつの隊員が操作します。

 タイミングが命で、事前に緻密に計算します。今回の場合、安倍晋三首相の「天皇陛下、万歳」の掛け声と参列者の「万歳」唱和の間に1発目の音を響かせなければなりません。

 首相の「天皇陛下」の「て」の瞬間、皇居・宮殿にいる第1特科隊長の林佐光1等陸佐が携帯電話で「撃て」と指示します。

 850メートル離れた北の丸公園で中隊長の児玉義信1等陸尉が受け、私が赤い旗を振り下ろすと隊員が発射。3・5秒で音が宮殿に到達するようにします。絶対にミスは許されず、神経を使いました。その後は5秒間隔で計21発を正確に発射しました。

 自衛官になって、教育訓練を終えてからずっと火砲を担当しています。チームワークの任務なので、とてもやりがいを感じてきました。今回の光栄は、こつこつやってきたことが認められたのかもしれません。

 来年の東京五輪で祝砲があるとすれば、また第1特科隊がやることになります。次は私の担当ではありませんが、経験をしっかり伝えます。

 今回、一番感動したのは、朝から降っていた雨が儀式が始まるころにやみ、日が差したことです。神がかっていると感じました。日本に生まれてよかったと、心から思いました。

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 ■こばやし・よしまさ  昭和57年、長野県山形村出身。信州工高卒。平成12年に自衛隊入隊。駒門駐屯地(静岡県御殿場市)にあった第1特科連隊を経て、14年の部隊再編で第1特科隊に。山梨県富士河口湖町の自宅で妻と子供3人の5人暮らし。

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