景気腰折れ回避へ“政策総動員”

 安倍晋三首相が策定を指示した経済対策は、台風などの自然災害や米中貿易摩擦による世界経済の減速リスクなど、政府がみずからコントロールできない想定外の要素への対応が柱となる。悪影響の拡大を食い止められなければ日本の景気を腰折れさせかねず、財政再建との両立にも目配りした「政策総動員」での対応が求められる。

 「日本経済への悪影響が生じることに備え、あらかじめ万全の対策を講じる」。西村康稔経済再生担当相は8日の記者会見で、経済対策の狙いをこう説明した。日本経済については、「基調として景気が緩やかに回復しているという認識に変わりない」と述べ、アベノミクスがうまくいっているとの見方を示した。

 経済の喫緊の課題は、台風被害からの復旧・復興やそれを踏まえた全国的なインフラ整備だ。政府関係者は台風19号について、「河川の水が堤防を越えて町に流れ込むなど、想定以上の事態が多かった」と話す。

 水害で物流網や工場が損傷すれば生産力が低下し、企業の投資意欲や消費者心理の冷え込みにもつながる。政府は経済的な観点からも、災害に強い国土作りを強めたい考えだ。

 また、世界経済の減速懸念が強まっており、国際通貨基金(IMF)は10月、2019年の世界全体の経済成長率見通しを3%と、3カ月前の予想から0・2ポイント下方修正した。日本経済に悪影響が及ぶ恐れが強まっており、菅(すが)義(よし)偉(ひで)官房長官は8日の会見で「(世界経済の悪影響などによるリスクを)生産性向上といったチャレンジで乗り越えようとする中小小規模事業、農林水産業、地方などを重点的に支援する」とした。

 一方、政府は今回の対策が、10月の消費税増税の悪影響があるために打ち出したものだと受け取られることを避けたい考えだ。菅氏は会見で「世界経済などを考えた中での対策だ」と述べ、経済全体の動向を見据えた措置だと強調した。

 増税前後の需要に関しては、現時点では全体的に、大きな駆け込みと反動減は出ていない。ただ、百貨店、自動車販売などで、軽減税率などの恩恵を受けていない一部の商品に落ち込みがみられ、政府は影響の丁寧な検証が求められる。

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