豊洲市場「目利き」を数値化も 生き残りかけ情報発信

 世界最大級の魚市場を有し、「日本の台所」と呼ばれる中央卸売市場、豊洲市場(東京都江東区)が、市場からネットで情報を発信し、消費者と直接つながる試みを始めることが分かった。魚の鮮度や青果のおいしさなどを見極める職人の「目利き」といわれる技術の数値化も検討する。築地から移転し、11日で丸1年。ネット通販や産地直送が盛んになり、市場の存在意義が問われる中、生き残りをかけた試みとなる。

 豊洲市場は10月から、情報技術や発信の専門家2人を新たに採用。市場には水産物や青果物の最新の情報が集まっており、「どこの何の魚がうまいか」「どういう料理法がよいか」など消費者の求める情報をネットで発信していくという。

 魚に付けるICタグ(電子荷札)を活用することも検討。タグによる在庫や販売管理も進んでいるが、海で魚を捕った際の温度や状態、さらに市場へ運搬するまでの温度や状態などが、全て履歴で分かるようにする。

 市場関係者によると、「これまでアナログの世界だった」といい、経験や勘などによる職人の技術に頼ってきた。今後は、魚の脂肪分の分布や、青果の糖度など「目利き」を科学的に解析した上で、情報を発信していくことも考えていくという。

 市場を取り巻く環境は厳しい。市場を経由して販売する割合は年々減少しており、農林水産省によると、水産物は昭和55年の86%から平成28年の52%に落ち込む。豊洲では、書き入れ時の昨年12月の水産物取扱量は前年比89・9%、6月は89・8%と下回る。来年6月からは「改正卸売市場法」が施行される。仲卸を通さずに市場外業者に販売することも可能になり、関係者は「市場全体に危機感がある」と打ち明けた。

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豊洲市場 昭和10(1935)年に開場した築地市場が老朽化したため、約5700億円かけて昨年移転。土壌汚染対策などの不備で移転は2年延期していた。豊洲は築地の1・7倍となる40・7ヘクタールの敷地に、5階建ての水産仲卸売場棟や青果棟が立ち並ぶ。閉鎖型の低温管理で、商品を調理するための加工パッケージ棟も備える。

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