小泉進次郎環境相が“小泉語録”で被弾のワケは…

【安倍政権考】

 小泉進次郎環境相が9月の就任以降、連発する“小泉語録”に批判が噴出している。「セクシー」など政治家が公の場で使わない単語を使う一方で、肝心の環境分野は慎重姿勢が続いているため「勉強不足」「話をそらせている」という印象をもたれているのだろう。だが、小泉氏は就任から約3週間で福島県に3度入り、米ニューヨークで開かれた国連総会では海外要人らと会談するなど、他の新任閣僚と比べ公務に取り組む姿勢は遜色ない。では小泉氏の何が問題なのか。

 小泉氏への批判はこんな具合だ。

 「意味がわからない」(立憲民主党の福山哲郎幹事長/小泉氏の「気候変動問題は、セクシーでなければならない」発言に)

 「意味不明であり、不勉強のそしりを免れない」(舛添要一元東京都知事/同)

 「ポエムは大臣にはいらない。(中略)ポエムではなく実行力!」(橋下徹元日本維新の会代表/東京電力福島第1原発事故の処理水問題で)

 「残念なのは勉強していないということ」(落語家の立川志らく氏/小泉氏の「毎日でもステーキを食べたい」発言に)

 こうした袋だたきに対し、政府高官は周囲に「散々言われてさすがにかわいそうだ」と小泉氏を擁護してはばからない。

 一方で、政府高官は「戦線が拡大してしまっている」とも指摘する。戦線拡大とは、小泉氏が質問に全て自分で対応しようとしている姿勢のことで、今の弱点を言い当てている。

 小泉氏は平成21年の初当選以来、自民党農林部会長や厚生労働部会長を歴任し、主に農業や社会保障、国会改革などを手がけたが、環境政策との接点は薄い。報道各社のインタビューでは「秘書官には私を環境のプロ、原子力行政のプロに変えてくれと言っている」と意気込んだが、どんな猛特訓を受けても効果を発揮できるのはもう少し先だろう。小手先の勉強で実績を出せるほど環境問題は生やさしくはないからだ。

 思うに、小泉氏は大臣就任後、自分を取り巻く視線が格段に厳しくなったという自覚が不十分ではないか。

 大臣とそれ以外の政治家では責任の重さが違う。大臣の実績は国益を左右し、不始末は最終的に任命権者である首相の責任となる。小泉氏の失敗は起用した安倍晋三首相の失政につながり、場合によっては政権が倒れることもありえる。

 38歳の小泉氏は閣僚の中では一番若いが、初当選から10年たっており、世間に目を転じれば、30代で上場企業の幹部を務めることは珍しくない。安倍首相は初当選から10年後に党幹事長に起用されている。

 記者はかつて小泉氏の番記者だった。当時の反省も込めて率直にいえば、演説上手の小泉氏は国政選挙で全国各地に応援に入れば人が集まるスターとしてちやほやされ、永田町という“ぬるま湯”で甘やかされてきた面もあると思う。

 政局取材を主眼とする自民党担当の記者と違い、省庁担当記者は業界紙や雑誌などを含め高い専門知識を持つ人が多い。就任して間もない小泉氏が環境行政に詳しい記者にかなうわけがない。

 であれば、質問に十分な答弁が難しい場合は奇をてらったような返答ではなく「わかりません」と事務方に回答を委ねたり、「次回までに調べます」と約束する。専門記者には「こちらが教えてほしい」と素直に聞く度量があってもいいのではないか。

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