“赤いクワガタ”関西にも出没 かっこいい虫を見つけても飛びつくのは禁物

 子供たちが昆虫と触れ合う機会が増える夏休み。しかし、野外でかっこいい虫を見つけても飛びつくのは禁物だ。“赤いクワガタ”には触れると危険だし、逆に首の部分が赤いカミキリは有害昆虫として捕殺が推奨されていたりする。専門家は「初めて見る虫は図鑑などで調べてから触れ合ってほしい」と、好奇心にはやらず一呼吸置くよう呼びかけている。(井上浩平)

 「そっと観察を」

 「赤い色のクワガタみたいな虫を見つけた」。ネット上では、珍しい虫の発見にわく書き込みが散見される。

 だが、その正体はクワガタとは似て非なるツチハンミョウの仲間「ヒラズゲンセイ」。鮮やかな赤色のボディーとクワガタのような大あごが特徴だ。体長約2~3センチで、6~7月に成虫になり、人家周辺や林のある公園で目にすることができる。

 刺激を与えると足や体の関節からにじみ出す体液には「カンタリジン」という有毒な成分が含まれており、触ると皮膚がかぶれたり水ぶくれを引き起こしたりする恐れがある。

 徳島県立博物館の山田量崇(かずたか)学芸員によると、これまで四国などで生息が確認されてきたが、近年は滋賀県付近まで分布が拡大。理由は判然としないが、都市部の温暖化の影響も指摘されているという。山田学芸員は「奇抜な色は毒や危険があることを天敵の鳥などに警告する意味があると考えられる。ただヒラズゲンセイに攻撃性はないので、見つけても触らず、そっとしておくのが一番」と話す。

 ヒラズゲンセイと同じ毒を持つ昆虫は他にもいる。カミキリと形がよく似た別種の「アオカミキリモドキ」がそれで、全国の平地から山地まで広く分布。体長1・5センチ程度で、成虫は夏に多くみられる。

 夜になると灯火に集まるので、家の中に侵入してしまうことも。山田学芸員は「ハネが光沢のある緑色で頭から首にかけてはオレンジ色。鮮やかな色彩なので、きれいな昆虫だと思って触りたくなるかも」と注意喚起している。

 捕殺奨励金制度も

 一方、本家のカミキリムシの仲間で、毒こそないものの人間の生活に重大な悪影響を及ぼしているのが「クビアカツヤカミキリ」だ。

 もともとは中国や台湾に生息し、光沢のある黒色の体に首の赤色、お香のようなにおいを放つのが特徴。体長3~4センチでバラ科の樹木に産卵し、幼虫は樹木の内部を食い荒らしながら2~3年で成虫になる。モモやウメが食害を受けると、木が枯れたり実が大きくならなかったりする。

 日本では平成24年に愛知県で初めて見つかり、30年に特定外来生物に指定された。大阪府など7都府県に分布が拡大している。

 サクラに深刻な被害が出ている群馬県館林市では今年5~8月、成虫を捕殺して市の窓口に提出すれば、400匹を上限に1匹につき50円を交付する奨励金制度を創設した。すでに5千匹以上が持ち込まれているという。

 同市地球環境課の担当者は「想定していた4千匹を大きく上回っている。市民を巻き込みながら、人海戦術で駆除したい」と意気込む。

 27年に初めて確認された大阪では、府内11自治体でモモなどに被害が出ているが、「風評被害が怖いので具体的な産地は公表していない」という。

 府農政室推進課の担当者は「目立つし、珍しい虫なので捕まえる人もいると思うが、特定外来生物なので法律で移動や飼育は禁じられている。繁殖力が強く、農産物に大きな被害が出ているので、見つけたら捕殺してほしい」とした。

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