80歳の自民・二階幹事長、参院選応援で総移動距離9000キロ超

【政界徒然草】

 21日投開票の参院選で、自民党の二階俊博幹事長が精力的に全国を回る姿が目立っている。80歳という年齢を感じさせない働きぶりで、公示日の4日から17日までの総移動距離は9000キロを超えた。17日には、かつて仕えた国民民主党の小沢一郎総合選対本部長相談役の地元・岩手にも入っている。選挙結果は自身の幹事長続投の行方も左右するだけに、激戦区での応援にも熱が入る。

 二階氏は、選挙戦初日の4日に山形に入ったのを皮切りに、宮城(5日)▽山梨(6日)▽大分(7日)▽広島(8日)▽兵庫(11日)▽北海道(13、14両日)▽福岡(16日)▽岩手(17日)-と立て続けに訪問。各地で自民候補の演説会に駆けつけたり、支持団体の事務所で頭を下げたりして、票固めを進めた。

 公表されている訪問先を単純に積み上げただけでも、総移動距離は東京-ロンドン(約9500キロ)とほぼ同じ約9400キロに上る。投開票の前日まで分刻みで全国を回る予定もあり、移動距離はさらに伸びそうだ。

 二階氏は党の情勢調査などを踏まえ、激戦区を中心に訪問先を選んでいる。公示日に訪れた山形(改選数1)もそうだ。

 「選挙も政治も一人の力ではできない。多くの皆さんの力で初めてなし得る。その言葉の重要性を痛切に感じる」

 二階氏は山形市内で開かれた演説会で切々とこう訴え、苦戦している自民候補への支持を訴えた。

 農業県の山形では、国政選挙のたびに自民候補が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に対する農家の反発に苦しめられてきた。TPPが昨年末に発効したことも踏まえ、党は「今回ここで苦戦すれば、他の農業県にも影響が出る」(二階氏周辺)と判断。山形を「象徴区」に位置づけたうえで二階氏を含む党幹部を集中的に投入してきた。

 自民は前回の平成28年参院選で、東北6県の1人区のうち、山形を含む5県で敗れている。二の舞を避けたいのが党幹部の共通した本音だ。二階氏が選挙戦の地方遊説を山形から始めたのも、農業票の自民党回帰をさらに促す狙いがあった。

 17日には、二階派(志帥会)の現職が出馬した岩手(改選数1)にも入った。

 岩手は「小沢王国」と呼ばれるほど小沢氏が強固な地盤を持っている。今回も小沢氏が共産党の志位和夫委員長らとタッグを組み、野党統一候補の擁立を主導した。

 二階氏は、かつて新生党や新進党で側近として小沢氏と行動をともにしてきた。それだけに、当初は「応援に入ればマスコミが『小沢対二階の師弟対決』と書き立て、相手を下手に刺激しかねない」(党幹部)として、岩手は素通りする予定だった。

 しかし、党で終盤情勢を分析した結果、自民候補が激しく競り合っている実態が明らかになり、二階氏は方針を転換。さらに、これまでの地方遊説は「ハコ」と呼ばれる屋内の集会を中心としていたが、岩手では街頭に立つ決断をし、直接有権者に支持を訴えた。

 「選挙はあの人の生きがいなんだろうな」

 活発に動き回る二階氏に側近議員は舌を巻く。

 二階氏は28年の幹事長就任以来、29年衆院選や接戦だった新潟山梨両県知事選を勝利に導いた。「選挙に強い」というイメージが求心力にもつながり、安倍晋三首相(党総裁)は29、30両年の党役員人事で二階氏を続投させた。

 二階氏の念頭には、今回も結果を残すことで、選挙後に予想される党役員人事での幹事長続投を確実にしたいとの思いがあるはずだ。党内には、二階氏の健康不安説をもとに交代を求める声もあるだけに、全国を駆ける元気な姿を見せることで、健康への懸念を一蹴する狙いもある。「通信簿」となる参院選の働きぶりを、安倍首相はどのように判断するだろうか。(政治部 大島悠亮)

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