激戦区を追う 福井 一枚岩になれない…自民と野党統一候補の課題は共通

 「自民党候補VS野党統一候補」が大きな構図となった福井選挙区(改選数1)。4月の福井県知事選での分裂が尾を引く自民と、共産党の公認候補で一枚岩になれない野党のせめぎ合いが続く。

 「今回の選挙は、非常に厳しく難しい。まさに自民王国・福井が試されている選挙だ」。再選を目指す自民現職の滝波宏文(47)は今月6日、福井市内で開かれた個人演説会で支援者に呼びかけた。

 念頭にあるのは県知事選だ。自民県連は、党本部推薦の新人と5選を目指す現職に支援が二分。滝波はどちらの陣営も応援しなかった。このため、新人を支援した地方議員らが県連に対し「国会議員として党推薦の候補を応援すべきでなかったか」と、参院選公認候補について滝波の差し替えを要求する事態に陥った経緯があった。

 個人演説会には、経済産業政務官を務める滝波の上司にあたる経産相の世耕弘成が出席し、「知事選で福井県入りしないよう自分が指示した」と釈明。どちらかの陣営につけば、複数の原発が立地し、エネルギー政策の要を担う県と経産省の関係に悪影響が及ぶことを懸念したと説明した。

 ただ、しこりは残る。知事選後に県連の党員数が減少したほか、参院選でも議員間で支援態勢に温度差が生じている。ある自民県議は「自民一強の中、たがが緩んできているのでは」と顔をしかめる。

 対する野党サイド。「野党統一候補として出馬した。政治への不安を率直に表明してほしい」。7日、共産新人の山田和雄(52)は福井市内の街頭でマイクをにぎった。

 山田は全国唯一の共産公認の野党統一候補。党公認候補として町議選などにも出馬してきた山田は、「共産単独時よりも支持層の広がりを感じる」と話す。

 混沌(こんとん)とした選挙戦に頭を抱えるのは野党も同じだ。

 5月、野党各党の中央本部が福井選挙区から統一候補として山田の擁立を決めた。立憲民主や国民民主、社民の各県連は「(関係が深い)連合の理解が得られない」として無所属での出馬を共産県委員会に要請。だが協議の末、各党中央本部の決定を尊重する方針が出された。

 「非自民・反共産」を掲げる連合福井は「選択肢がない」として参院選で沈黙する姿勢を表明。立民や国民、社民は推薦を出さなかった。10日には立民代表の枝野幸男が福井市内に応援に駆けつけたものの、国民は出陣式に参加しないなど温度差がある。国民県連関係者は「特に原発政策では共産とは隔たりがある。全面的に応援するわけにはいかない」と声を潜める。

 こうした状況に、同県鯖江市の無職男性(80)は「結局何がしたいのかよくわからず、有権者をばかにしているとしか思えない」と憤る。分裂が尾を引く自民と足並みのそろわない野党に対し、有権者の視線は厳しさを増している。

 同選挙区は、諸派新人の嶋谷昌美(48)も立候補している。(文中敬称略)

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