韓国とソックリな野党「最低賃金上げ」主張 参院選「経済政策」に注目

【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】

 参院選の舌戦が激しくなっています。

 今回というか、選挙のたびに私が注目しているのが「経済政策」です。といっても、「消費税増税に賛成か、反対か」というような単純な色分けではなく、各党・各候補者が「マクロ経済をどこまで真剣に考えているのか」という点です。

 「就職氷河期世代」の深刻な時代に社会に出た身としては、景気の良しあしが後の人生にまで大きな影響を及ぼすということを身に染みて知っています。だから、単に増税の可否だけでなく、「全体として、どうしていくつもりなのか、その整合性にも注目したい」と思っているんです。

 例えば、立憲民主党や共産党、社民党は「最低賃金上げ」に言及しています。賃金が上がるのはサラリーマンにとってはありがたい。ただ、経済状況に関係なく最低賃金を引き上げてしまうと、副作用が出てしまうかもしれません。

 現に、お隣の韓国では文在寅(ムン・ジェイン)大統領が選挙戦の公約をそのままに、最低賃金を年10%以上ずつ引き上げたところ、失業率が上昇しました。特に、若年層の失業率は10%近くまで上がりました。

 この間、韓国のGDP(国内総生産)成長率は2%台半ばから3%台前半で推移していました。その3倍の伸び率で賃金が強制的に上昇するわけですから、企業にはたまったものではありません。収益以上にコストがかさむので、当然、雇用を絞って今いる社員で仕事を回そうとします。

 そのしわ寄せをモロに被るのが、新たに社会に出てくる若年層です。「働きたくても仕事がない」となりました。経済のパイを大きくせずに最低賃金を上げると、かえって庶民の生活に大打撃になるわけです。

 これ、私だけが主張しているのではなく、IMF(国際通貨基金)も「生産性向上が伴わなければ、雇用が鈍化し、競争力が弱まる可能性がある」と、拙速すぎる強制的な最低賃金上昇を諫(いさ)めていました。

 では、野党の公約を見てみると、現在800円台後半の最低賃金を1000円に、あるいは1500円を目指すという党もあります。年限を区切っている立憲民主党は「5年以内に1300円台」ですから、1年あたり100円の伸び。およそ10%の伸びとなると、まさに韓国の政策と同じことをやろうとしているわけです。

 「消費税増税反対!」「賃金を上昇させます!」

 それぞれの政策は、確かにその通りだと思います。ただ、やり方を間違えると、狙いと正反対の結果に終わってしまう恐れがあるのです。

 この経済状況で消費税増税を強行する与党も「本当に小さな声を聞いているの?」と思いますが、野党も聞き心地のいい言葉だけでなく、全体として、どうデザインしていくかが重要です。

 全体で見極めていかなくてはいけません。幸い、投票日までまだ時間がありますから。

 ■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ