18歳選挙権“ブーム”去ったのか 投票率懸念、あの手この手のアップ作戦

 21日投開票の参院選に向け、若者の投票率アップに向けた取り組みが広がっている。3年前の前回参院選では、18歳選挙権が国政選挙で初めて導入され注目を集めたが、「ブーム」も一段落した今回は低調が懸念される。とりわけ、進学などで地元を離れた19歳の投票率が低い傾向が明らかになっており、構内に投票所を設置する大学も。さらに、子供時代から投票意識を根付かせる啓発も進む。(加納裕子)

■出前授業

 「なんで18歳からになったん?」「いい質問。諸外国では18歳から大人と考える国が多く、18歳は社会に出るきっかけになる年ですね」

 参院選の日程が決まった6月26日、兵庫県宝塚市の県立宝塚東高校で3年生を対象にした「選挙出前授業」が行われた。講師役の同県選管事務局の曽奈浩太郎さん(34)は「投票に行かなければ若者の思いは伝わらない」「進学で引っ越したら、住民票も移して」と強調。投票手順を紹介する映像を、生徒たちは食い入るように見つめた。

 生徒たちは「選挙は自分たちの生活に関わっているので、せっかくの機会を無駄にしないようにしたい」「説明を聞いていろいろ分かったので、ぜひ投票に行きたい」と話していた。

■大学で投票

 選挙権年齢が18歳に引き下げられてから、国政選挙は今回で3回目。平成28年の前回参院選、29年の衆院選では、いずれも18歳の投票率は50%前後だったが、19歳は低調だった。ある選管事務局の職員は「同じ18歳でも高校生は比較的選挙に行くが、住民票を移さずに都市部に進学した大学生の投票率は低い。19歳ではさらに低くなる」と指摘する。

 こうした状況もあり、投票に行きやすいようにと大学構内に投票所を設置する動きもある。大阪大学豊中キャンパス(大阪府豊中市)では27年の統一選以降、同市選管が選挙のたびに期日前投票所を設けており、毎回200~300人が利用。今回も17、18の両日午後に設置する。

 総務省もこうした試みを後押し。同省によると、大学や短大、専門学校への期日前投票所の設置は、18歳選挙権導入以降の2回の国政選挙で全国90カ所以上で実施されている。

■「自分のこととして」

 「将来の有権者」である低年齢の子供たちをターゲットにした取り組みもみられる。子供向け職業体験施設「キッザニア甲子園」(兵庫県西宮市)では、24年の衆院選から国政選挙に連動する形で、3~15歳の子供を対象にした模擬選挙を実施。模擬投票所の壁には、本物の政党ポスターや子供向けにわかりやすくまとめた選挙公約を掲示する。保護者は入れず、子供たちはスタッフのサポートを受けながら自分で投票用紙に記入し、投票箱に入れる。

 今回も16~21日に模擬投票所を設ける予定で、担当者は「模擬選挙での投票体験を通して、選挙に参加することの大切さを知ってほしい」と話す。

 慶応義塾大学SFC研究所の西野偉彦(たけひこ)上席所員(主権者教育論)は「主権者教育は国や社会の問題を自分のこととして考え、行動することが目的」と強調。「18歳選挙権がブームだった前回に比べて今回は低調だが、若い世代には今の社会はどうあるべきか、未来はどうなればいいかを考えて、選挙と向き合ってほしい」と訴えている。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ