有権者に響いたのは…参院選7党首の第一声を分析

 参院選が公示された4日、与野党7党の党首らが全国各地で第一声を上げた。各党首は年金問題や10月の消費税率10%引き上げ、経済政策や憲法改正といった争点をめぐり初日から激しい舌戦を展開した。

 第一声の時間配分を分析すると、安倍晋三首相(自民党総裁)は、悲願とする憲法改正とほぼ同じ時間を年金問題に割いた。野党が「老後資金2千万円」問題を集中的に取り上げることを踏まえ、経済成長などで年金財政が強化されていることを説明し、不安の払拭に努めた。福島市の果樹園を背に、各国による被災地の農産品輸入規制の撤廃が進んでいることも強調した。

 公明党の山口那津男代表は、10月の消費税増税の増収分で子育て支援を手厚くすることを訴えた。

 立憲民主党の枝野幸男代表と国民民主党の玉木雄一郎代表は、首相の経済政策「アベノミクス」の恩恵が家計や地方まで届いていないことに力点を置いたが、憲法や外交・安全保障にはほとんど触れなかった。

 共産党の志位和夫委員長と社民党の吉川元(はじめ)幹事長は、年金や憲法、安全保障などでまんべんなく与党を追及した。日本維新の会の松井一郎代表は年金の制度改革などに時間を割いた。

 各党首の第一声の要旨は次の通り。

 自民党・安倍晋三総裁 私とトランプ米大統領の信頼関係のもと、日米同盟の絆はかつてないほど強固なものとなった。共産党はそんなものは必要なく、自衛隊も違憲と言っている。私たちはこういう論争に終止符を打つため、憲法に自衛隊を明記することを公約に掲げた。憲法を決めるのは国民であり、そのために審議をするのが国会議員の責任だ。未来に向かってしっかりと議論を進めていく。

 野党は年金問題で財源に裏打ちをされた具体的な提案は何もせず、不安ばかりをあおっているが、打ち出の小づちはない。年金財政の基盤を確かで安心なものにするためにも、私たちは経済を強くしていく。

 令和の時代。若い世代に思い切った投資をしていく。家庭の経済状況が厳しくても専修学校や大学に通える。そういう日本をつくっていこうではないか。(福島市・あづま果樹園)

 公明党・山口那津男代表 これからの時代をどう形作っていくかが問われる重要な選挙だ。世界では米中貿易摩擦などの軋轢(あつれき)が生じ、国内では少子高齢化がすごいスピードで進む。こうした荒波を乗りきるためには、何よりも政治が安定しなければならない。

 消費税を10%に引き上げるが、税収を子育て支援を含めた全世代型の社会保障に生かす。今の日本の政治に一番必要なことは、国民の声を聴く政治、小さな声を聴く力だ。その力がある公明党がいればこそ、政治に信頼と希望が生まれ、真の意味の政治の安定がつくれる。(神戸・大丸神戸店前)

 立憲民主党・枝野幸男代表 安倍政権下で雇用は増えたかもしれないが、非正規雇用が働く人の4割に達しようとしている。2人以上の世帯で、貯蓄ゼロが3割を超えている。

 こうした方々は、老後の生活のためにどうやって2千万円をためたらいいのか。こんな状況で、どうして消費税をさらに上げることができるのか。これ以上、暮らしの安心が壊されてはいけない。安心を取り戻さなければならない。暮らしを守り、生活を防衛するための夏の戦いにしていこうではないか。

 明治の自由民権運動で議会ができた。大正デモクラシーで普通選挙が実現した。大正デモクラシーを超えるような民主主義のバージョンアップを一緒に進めたい。1年9カ月前の衆院選で私は「立憲民主党はあなたです!」と呼びかけた。この国、この社会にはあなたの力が必要だ。(東京・JR新宿駅東南口)

 国民民主党・玉木雄一郎代表 政治は国民の暮らしと生活のためにある。そのことを取り戻す選挙にしたい。選挙の大きな柱として『家計第一の経済政策』を掲げた。アベノミクスは大企業が豊かになれば、恩恵が中小企業や地方に広がっていく前提で作ったが、恩恵が届いていない人が多い。

 家計を豊かにすることによって、GDP(国内総生産)の6割を占める消費を盛り上げる。企業の業績が上がれば、賃金を上げる余力も出てくる。消費を軸とした好循環を回す経済政策に変えていこうではないか。(静岡県掛川市・掛川グランドホテル)

 共産党・志位和夫委員長 「安倍政治サヨナラ」の審判を下し、国民の誰もが希望を持ち、安心して暮らせる日本をつくる選挙にしていこう。(物価や賃金の上昇幅よりも年金額の伸びを抑える)マクロ経済スライドで年金を削るのか、それとも減らない年金にするのかが最大の争点だ。

 景気悪化の赤信号がともっているのに増税を強行するのは愚の骨頂だ。高額武器の爆買いはやめ、暮らしにお金を回そう。米軍のために血を流して戦う自衛隊にするのが9条改憲の真の狙いであることを告発したい。平和憲法をまもり、いかそう。(東京・JR新宿駅西口)

 日本維新の会・松井一郎代表 20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で大阪に来たトランプ米大統領と河内弁で話したが、「オオサカ、ビューティーフル」と言ってくれた。大阪は元気になってきた。10年前は衰退していたが、橋下徹元大阪府知事と僕が徹底的に改革をやった。やればできる。

 安倍首相は消費税増税で教育無償化を実現するというが、徹底して改革すれば上げなくてもできる。年金制度は抜本的に見直し、現在の賦課方式から積み立て方式に見直していく大胆な改革が必要だ。(大阪・高島屋大阪店前)

 社民党・吉川元幹事長 今回は、国民の暮らしの安心と平和がかかった重要な選挙だ。6年半にわたって続いてきた安倍政権の下で、国民の暮らしは壊されてきた。これまで政府は『年金は100年安心』と吹聴してきたが、安心だったのは制度が続くことだけだ。年金問題を通じて明らかになったのは雇用の劣化であり、選挙では雇用の質の確保を訴えていきたい。

 社民党にとっても瀬戸際、崖っぷちの戦いだ。結党以来、憲法を守ることを党是としてきた。国政政党として、これからも国会の中で働かせてほしい。(東京・JR新宿駅南口)

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