参院選 合区の鳥取・島根 自民分裂で残る禍根

 「自民王国」に生じた遺恨の行方が注目を集める合区の鳥取・島根選挙区(改選数1)。4月の県知事選をめぐって島根県連が分裂したあおりを受ける自民現職、舞立昇治氏(43)に新人2人が挑む構図だ。

 「島根では大変厳しい状況。島根に知り合いがいらっしゃれば舞立の名を広めていただきたい」。舞立氏は4日朝、鳥取市内の事務所前でこう訴えた。石破茂元党幹事長ら鳥取県連関係者が顔をそろえるなか、島根県連から駆けつけたのは青木一彦参院議員のみ。「戦いながら組織を構築していく」。青木氏はこう強弁したが、鳥取県連関係者の表情は硬いままだった。

 島根は故竹下登元首相らを輩出してきた自民王国の一つだ。4月の県知事選では、党推薦の新人を立てた国会議員に県議22人のうち14人が反発。別の新人を擁立して競り勝った。

 この事態を受け、6月には参院選を仕切るはずだった県連幹事長の県議に対する不信任動議が可決。選挙対策本部を設置しないまま参院選に突入し、県議らは個人的に舞立氏を支援することになった。

 平成25年に旧鳥取選挙区で初当選した舞立氏にとって、初の合区となる今回は島根での知名度が最大の課題。鳥取の倍近い面積で有権者も約10万人上回る島根で、名前を浸透させるには地元議員の力が不可欠との声もあがる。

 「3年前は島根選出の青木氏を一生懸命応援した。今回は、島根に一丸となって応援してもらわなければ困る」。鳥取県連関係者は島根側の態勢が整わないまま公示となったことに困惑する。

 一方、共闘態勢を組んだ野党側は4日朝、松江市で無所属新人の中林佳子氏(73)が「無所属となった決意をくみ取っていただき、新しい景色へ向かって共に戦いましょう」と第一声をあげた。

 ただ、野党も一枚岩ではない。共産の元衆院議員だった中林氏に「共産のイメージが拭えない」と、国民民主と立憲民主は自主投票と決めた。自民の分裂に「安倍政治の矛盾の表れであり、チャンスが出てきた」と、党派を超えた個人的支援に望みを託す。

 鳥取・島根両県ともに少子高齢化や市街地の空洞化などが課題だ。シャッターの閉まった店が並ぶ松江市の商店街で衣料品店を営む男性(80)は「各陣営の事情はよくわからないが、結果がどうあれ、地方を取り巻く課題が変わるとは思えない」と話した。

 同選挙区には、諸派新人で会社員の黒瀬信明氏(34)も立候補した。

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