参院選公示 アベノミクス再び審判

 4日公示された参院選では、安倍晋三政権の経済政策アベノミクスに再び審判が下されることになる。成果で顕著なのは株価や企業収益の改善。雇用は5月の有効求人倍率が1・62倍となり、政権発足時の約2倍に達するなど、確実に回復した。一方、社会保障負担などが重しとなって個人消費は依然、力強さを欠くほか、物価も思うように上がらず、2%の物価安定目標は達成できずにいる。

 「増えた果実を社会保障にしっかりとつぎ込んでいく」。安倍首相は4日、福島市での演説で、アベノミクスによる景気改善で平成30年度の国の税収が過去最高になったことを踏まえて、こう訴えた。

 第2次安倍政権は24年12月26日に発足。「三本の矢」と名付けた主要経済政策の一つに金融政策を掲げ、日銀の異次元緩和によって円安を加速させ、株高や企業業績の改善につなげた。

 4日の東京株式市場の日経平均株価終値は前日比64円高の2万1702円で、政権発足時の約2倍の水準に。29年度の企業の経常利益は約83兆6千億円に達し、24年度の約1・7倍に膨らんだ。

 企業業績の好調を背景に改善したのが雇用で、有効求人倍率が伸びたほか、完全失業率は24年12月の4・3%から今年5月の2・4%まで、大きく減少。女性や高齢者の労働参加も進み、安倍首相は3日の党首討論会で「380万人の新たな雇用を生み出した」と強調した。

 ただ、個人消費は強くない。4月の2人以上世帯の消費支出は30万1136円と、24年12月の32万5492円を2万円以上、下回った。企業業績に見合った賃上げが行われないことに加え、社会保障負担が増えていることや、社会保障制度への将来不安があることなどが、財布のひもを固くしていると指摘される。野党は消費の現状を踏まえ、10月の消費税増税には反対している。

 消費意欲が高まらなければ、企業も商品やサービスを値上げできない。5月の消費者物価指数の前年同月比伸び率は、全品目の水準を示す総合指数で0・7%にとどまった。

 今後も米中貿易摩擦を起点とする世界経済の減速リスクはくすぶり続ける。どう対処していくべきか、与野党は有権者の不安や疑問にしっかり答えていく義務がある。(山口暢彦)

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