大阪選挙区 自民・立民 維新旋風に恐れ

【令和の戦い】

 大阪市を舞台に20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が開幕した6月28日、同市東住吉区の「駒川商店街」は平日にもかかわらず、いつもの買い物客にまじって、子供たちの姿でにぎわっていた。サミット開催に伴う交通規制のため、市内の学校が休みになったからだ。

 「元知事の太田房江です」「がんばりまっせ、やりまっせ」

 東西190メートル、南北540メートルの蒸し暑い商店街に、自民党から立候補する太田の声が何度も響いた。オレンジ色のたすきには「元大阪府知事」。ひたすら元知事を印象付ける作戦のようだ。声をかけられた魚屋の男性は「あっ、知事や!」と驚いた様子だった。

 こまめに水分補給しながら商店街を練り歩く太田は「名前を思い出してもらわないとね」とつぶやいた。その表情には焦りがにじむ。4月の大阪府知事・大阪市長のダブル選や衆院大阪12区補選などを制し、大阪選挙区(改選数4)に2人の候補を擁立する日本維新の会を意識していたのは明らかだ。

 仮に勢いに乗る維新が2議席を占めれば、残る2議席を自民、公明、立憲民主、国民民主、共産の5党が競う狭き門となる。太田は周囲に「(2025年)大阪・関西万博は維新だけでやりきれない。大阪から自民党議員が消えることは絶対にあってはならない」と語った。

 不安材料は維新の勢いだけではない。自民党大阪府連が太田支援でまとまりきれていないことも悩みの種だ。

 自民党は当初、太田と元大阪市議の柳本顕の2人を公認していたが、柳本が大阪市長選に立候補するため辞退。ダブル選や衆院補選などの連敗に危機感を強めた自民党本部は「共倒れのリスクがある」(党幹部)と判断し、2人目の擁立見送りを決めた。

 しかし、一部の国会議員らが6月11日、柳本を再び参院選で擁立するよう求める嘆願書を党本部に提出した。「最後は一つになるのが自民党だ」。太田はこう前を向くが、同時に「一枚岩にならなければ勝ち抜けない。支援をお願いするしかない」と不安な気持ちを吐露した。

 生き残りに必死なのは野党第一党も同じだ。

 「調査によると、私は5番目につけていると聞く。挽回に向けた本気の戦いをしていきたい」

 立憲民主党が擁立した亀石倫子(みちこ)は6月28日夜、堺市のホテルで開かれた会合でこうあいさつした。衛星利用測位システム(GPS)を利用した捜査は令状がなければ違法との判断を最高裁が示した事件を担当し、名を上げた弁護士が気になるのも維新のようだ。政治学者の中島岳志との対談では維新が実現を目指す大阪都構想に触れ、「多数決の悪用だ」と批判した。

 立憲民主党の府連幹部は「北方領土をめぐる暴言で維新を除名された丸山穂高衆院議員の問題で勢いは弱まった」と強調したが、「軍隊さながら、指示通りに動く地方議員を多く抱えており、組織力は脅威だ」と維新への警戒を強めている。

 気になるのは国民民主党の動きだ。大阪は幹事長を務める平野博文の地元だけに、公認候補を取り下げる気配がない。このままでは旧民主党支持層の投票先が割れる可能性が高く、共産党や公明党に組織力で劣る大阪の立憲民主党にとっては痛手だ。連合大阪の幹部は「亀石を当選させるには投票率を上げることがマスト(必須)だ」と分析した。

 受けて立つ維新は新人で司会業の梅村みずほを主に大阪市議、堺市議、国会議員団がサポートし、現職の東徹を大阪府議、両市以外の市議が中心に支援する態勢を整えた。維新幹部は「大阪ではG20に絡み松井一郎代表(大阪市長)の映像が多く流れた。有権者は政府とタッグを組んで大阪を元気にしているのは維新だと感じている」と述べ、支持の広がりに自信を深めている。=敬称略

(内藤慎二)

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