参院選党首討論 恒例行事を淡々とこなす与党、気迫に乏しい野党

 3日の日本記者クラブ主催の党首討論会は、参院選公示日前日だというのに、どこか弛緩(しかん)した空気が漂った。参院選は政権選択選挙ではないとはいえ、野党側に熱気と気迫は乏しく、与党側も恒例行事を淡々とこなしているかに見えた。

 安倍晋三首相は立憲民主党の枝野幸男代表に対し、福井県で共産党候補が野党統一候補となっていることを指摘し、こうただした。

 「共産党は自衛隊は憲法違反だというのが明確な立場だ。枝野さんは合憲ということだろうが、もし枝野さんが福井県民だったらこの候補に一票入れるのか」

 枝野氏は、集団的自衛権行使を限定容認する安全保障関連法が憲法違反であるという認識で野党5党1会派で一致していると述べ、直接答えなかった。

 だが、実は首相は、同様の質問を6月30日のインターネット動画中継サイト「ニコニコ動画」の党首討論会でもしていた。このときも、枝野氏は「福井県民が判断することだ」と回答を避けていたが、その後も、憲法観が根本的に異なる野党統一候補擁立を正当化するうまい答弁は思いつかなかったようだ。

 所属国会議員は衆参2人ずつのわずか4人で、参院選の結果次第では令和4年以降、政党要件を失いかねない社民党の吉川元・幹事長は、自党の存在意義をこう強調していた。

 「かたくなに憲法を守る」

 とはいえ「かたくな」とは素直にならず、自分の考えや主義・主張に固執するさまのことで、肯定的な意味では使わない。吉川氏の言葉は、意図せず時代に合わなくなった社民党の低迷理由を示した形だ。

 日本記者クラブ企画委員による質問も、精彩を欠いたのは否めない。朝日新聞の企画委員は、十年一日のように首相に対して同じ話を蒸し返していた。

 「いわゆる森友学園問題、加計(かけ)学園問題はもう終わったと認識しているか」

 ところが、首相が森友学園の小学校設置趣意書にある校名が、朝日が報じていた「安倍晋三記念小学校」ではなく、「開成小学校」だった問題に触れると「朝日新聞の報道を論じる場ではない」とはぐらかし、首相に反論された。

 「自分たちが間違えたことは全く関係ないという姿勢は、おかしいと思う」

 討論会の最後には、各党党首に挙手形式で政策の是非を問う場面があった。立憲民主党が6月に発表した論点整理は、安定的な皇位継承のため、女性・女系天皇を容認する方向が読み取れるが、手を挙げたのは共産党の志位和夫委員長と社民党の吉川氏の2人で、枝野氏は挙手しなかった。

 野党側に一気に政権交代へとつなげる意欲が薄い中で、与野党双方から一票も減らしたくないとの守りの姿勢を感じた参院選討論会だった。(阿比留瑠比)

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