“韓国べったり”岩屋防衛相は「安倍政権の死角」 これが日本の防衛トップ…情けないというほかない

 【ニュースの核心】

 安倍晋三首相の通算在職日数が7日、2721日となり、伊藤博文を超えて歴代単独3位となった。伊藤と言えば、安倍首相と同じ長州(山口県)出身で、初代首相を務めた歴史上の人物だ。

 2006年に成立した第1次安倍政権は政治主導の改革を目指したが、霞が関や守旧派の抵抗に遭って体調をくずし、わずか1年で倒れた。それを思えば、これほどの長期政権になるとは、多くの国民が予想しなかっただろう。

 その秘密は何か、と言えば「無理をせず、できることを着実に実行する」に尽きる。高い理想を追い求めるのではなく、現実的に進む姿勢だ。最初につまずいたからこそ、会得できたに違いない。

 毛並みの良い「坊っちゃん政治家」のイメージとは裏腹に、実は「失敗と再挑戦の厳しさ」を身に刻んだ、したたかな「異形の総理」なのだ。

 そんな安倍政権に死角はないのか。

 政権は外からの攻撃では倒れない。戦国時代の城攻めと同じで、危なくなるのは内側で反乱が起きたり、結束が乱れたときだ。第1次政権も閣僚の不祥事が相次いで、足元をすくわれた。

 いま「心配な閣僚は」と問われれば、私は躊躇(ちゅうちょ)なく、岩屋毅防衛相を挙げる。岩屋氏は1日、韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制用レーダー照射事件を、事実上棚上げしたかたちで、韓国国防相とシンガポールで会談した。

 2日付の産経新聞によれば、事務方が「会っても建設的な議論にならない」と止めたのに、岩屋氏の方から「ぜひ、お目にかかりたい」と希望して非公式会談をした、という。これが日本の防衛トップと思うと、言葉を失う。情けないというほかない。

 本来、レーダー照射事件について、韓国から誠実な謝罪があるまで、日本は毅然(きぜん)として交流を凍結すべきなのだ。それを日本側からすり寄ってどうするのか。事件を「自らうやむやにする」のと同じではないか。それとも、それが岩屋氏の狙いなのか。

 岩屋氏は「確信犯」だ。

 自衛隊がレーダー照射事件の事実を示す証拠のビデオ映像を公開しようとした際、岩屋氏は韓国との関係悪化を言い募って、懸命に止めた。そこで、河野克俊統合幕僚長(当時)は安倍首相の裁断を仰ぐために、問題を首相官邸に持ち込んだ。

 関係者によれば、安倍首相はその場で、「公開しなかったら、自衛隊の名誉が守れないではないか」と言って、公開を即決したという。

 当時から、岩屋氏の「韓国べったり姿勢」は明白だった。現場を預かる河野氏の果敢な行動と、安倍首相の判断がなかったら、事件そのものがあいまいになってしまった可能性は十分にある。

 ネットで検索すると、岩屋氏はパチンコ業者らで作る業界団体、パチンコチェーンストア協会の政治分野アドバイザーを務めている。カジノ議連幹事長でもある。岩屋氏の政治姿勢と関連付ける見方もある。

 朝鮮半島危機は終わっていない。韓国との関係が正常化する気配も見えない。そんななか、岩屋氏が防衛相であり続けるのは、もはや「日本のリスク」になったのではないか。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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